賃貸住宅のリフォーム
賃貸住宅は、好きにリフォームするのは難しいものです。
通常、賃貸借契約には「退去時に原状回復をする」という条項があります。
最近では、通常使用による壁紙や床等の劣化は借主の負担ではないということになっていますが、壁に釘を打ったりしたときの穴などは修繕義務があると言えるでしょう。
それで、壁にちょっとした棚をつけるのも注意が必要です。
そんなときに便利な道具が、今日の日経新聞土曜版「プラス1」の家庭欄に載っていましたので紹介します。
それは、「マイ柱」という小道具で、これを2×4(ツーバイフォー)材という木材の上下にはめこみ、内蔵のバネで天井と床に突っ張って柱を作るというものです。
これで室内に傷をつけずに柱をつくれば、ここにねじや釘を打つのは自由です。
これを2本立てれば、棚を作ることもできます。
このほかにも、床や壁に傷をつけずにリフォームする方法がいつくか書いてありました。
トイレや洗面所の床の張替えのやり方も紹介されていました。
床については、ビニール素材のクッションフロアーでの簡単なリフォームの方法を説明していましたが、糊付けや両面テープでとめると退去の際にきれいにはがせないので吸着テープを使うといいと説明していました。
賃貸住宅の「原状回復」の問題は非常に微妙な問題で、権利主張の激しい家主さんや借主さんの間では、こみいった争いになってしまうことがあります。
だから、私たち不動産業者は退去の際にもめることのないように、「釘はうたないでください」とか、「壁にセロハンテープで物をとめたりしないでください」と言うことになるのです。
ただ、私は個人的には、人が生活するんだから壁に多少の釘を打ったり、ハンガーかけをねじでとめたりするのはしょうがないと思うんです。
家主さんだって、自分の家では壁に釘をうって棚を作ったり、ハンガーかけを付けたりしていると思うんですね。
だから、私がアパートや貸家の管理を頼まれる場合は、家主さんにある程度の傷はしょうがないと納得していただくようにしています。
月に5万円の家賃だったら1年で60万円。5年だと300万円。
借主さんは、貸家業という商売をしてきに家主さんにとって、300万円のお買物をしていただいたお客様なのです。
300万円もの大きなお買物をしていただいたお客様なのに、家主さんの多くは退去のときはカタキみたいに借りていただいていた客様のあら探しをしています。
壁に釘のあとがあるとか、フローリングに引っかき傷ができているとか、台所の壁がすすけているだとか、それはそれは細かく点検されます。
不動産業者も、入居のときに手数料をいただいているお客様なのに、退去に際しては家主さんの手先になって、家主さん側にたって原状回復の点検をすることが多いように思います。
「原状回復」を新品同様にして返すことと誤解している家主さんや不動産会社が少なくありません。
部屋を借りるということは、そこで生活をするということで、畳はすれるだろうし、壁紙に手垢もつくだろうし、フローリングに椅子の足でこすり傷がついたりするのはあたり前です。
部屋を貸すというビジネスはレンタカー会社が車を貸すのと似ていると思います。
このレンタカーのことを考えてみるとわかりやすいと思います。
車は200万円、300万円します。
そんな車の償却費、維持費、補修費、点検費等々もろもろの経費を考えて料金を設定して貸すわけです。
車を走らせればタイヤもすり減るし、泥もつきます。
泥がつくからといって、雨の日には水たまりを避けて徐行して走ってくださいなんて言いますか。
未舗装の道路を雨の日に走って泥だらけになったら、きちんと洗車して返せて言いますか。
そんなことは見越して料金を決めているわけです。
車は10年もしたら、値打ちはまったくゼロになります。
でも、不動産はゼロにはなりません。
今でこそ余り期待は出来ないのですが、値上がりすることだってあるのです。
レンタカー業より率の良いレンタル業かもしれないですよ。
家を貸すということも、レンタカーを貸すのとまったく同じビジネスです。
戦後の一時期までの家が不足している時代には家主は強者でした。
その時代の慣習を未だに引きずっているのです。
今は、住宅は余っている時代です。
だからといって、借主さんがわがままを言っていいといっているのではありません。
貸し借りはお互いさまの関係です。
借り手は住宅を貸していただいく代償として家賃を支払う、家主は家賃をいただいて借りていただく、というお互いさまの関係だと思います。
そうして退去の際にはお互いが相手に感謝してお別れするというのが本来あるべき形だと思います。
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