« テレビ報道の不確実 | トップページ |  瑕疵担保責任 »

2010年7月 5日 (月)

住宅ローンについて

 7月3日(土)の朝日新聞の経済欄に「 変動金利ローン人気」という記事がありました。

 メガバンクが貸し出す住宅ローンで、「変動金利型」を選ぶ人が急増しているという記事でした。

 今年に入って、利息が一定の「固定型」を逆転し、変動型が全体の9割を超えているということでした。

 その例として、住友不動産が、年1%を切る低い変動金利型の住宅ローンで新築タワーマンション「シティータワーズ豊洲ザ・ツイン」の販売を伸ばしているそうです。

 このマンションの10年固定金利型の提携ローンは最低年利1.8%なのですが、35年返済の場合変動型0.775%を選ぶと、借入額6000万円のとき固定型より月約3万円も返済が少なくなるそうだ。

「固定型にこだわる人はほとんどいない」という。
 
この変動型を全面に打ち出すのは、シティータワーズだけではなく、住宅情報誌に掲載されている物件の返済計画は、ほとんどが変動型だけで計算されています。

 このため、変動型の人気は高まる一方だそうです。

 今年一月にはメガバンク3行の住宅ローンの新規貸出額に占める変動型の割合が9割を超えたということです。

 これまでの日本の住宅ローンは、固定型が基本で変動金利は補助的な位置づけだったのです。

 実際、06年度の変動金利の割合は2割以下でした。

 急増したのは、企業向け融資の低迷でカネ余りに陥っている銀行が住宅ローンで客を獲得しようとしているからです。

 しかし、この記事にも書かれていたが、変動型の危険性を指摘する声は根強いものがあるといいます。
 

 私は、35年の長期の変動型など、怖くて絶対に勧めません。

 そもそも30年とか、35年ローンというのが怖いのです

 実際には、自分の支払い能力の限界ぎりぎりまで借入をしてしまう人が多いものです。

 借入をしてしまう人も多いのですが、借入をさせてしまう住宅会社、不動産会社もまた多い。

 実際、多少の無理や多少の妥協をしないと、なかなか住宅を購入する決心はできないということも言えます。

 
 しかし、住宅ローンの支払いは20年30年と長期にわたりますので、「なんとかなるだろう」ではなく、これ位の支払いだったら充分やっていけるという確信がもてる借入計画をするべきです。

 私は、なるべく固定金利での借入を勧めています。

 というのも、不動産バブルの頃に私が住宅ローンをお世話したお客様に大変な思いをさせた経験があるからです。

 そのお客様は、月々の支払いを安くしたいということで変動金利でローンを組むことになったのです。

当時は、 当地(延岡市)においては、変動金利の住宅ローンは一般的ではなくて、ある銀行が月々の支払いが安くなるということを売りにして宣伝していたので、その銀行でローンを組んだのでした。

 変動金利の住宅ローンは私も始めての経験だったものですから、金利が変動したらどうなるのか不安で銀行に確認したのだが、「支払額は5年間は変わらないので安心していいですよ」ということでした。

 ところが1年も経たない時期に、このお客さんから電話がありました。
「返済額を増やしてもらわないと元金が減りません」5さらに「元金が増えることもあります」と言われたと言うのでした。

「5年間は返済額は変動しないと言っていたのに話が違うじゃないか」という苦情だったのです。

 びっくりした私は、すぐに銀行に言って話を詳しく聞いたところ、長期金利が上がってきてそれに連動して住宅ローンの金利が上がっている。

 支払額はあげなくてもかまわないが、金利が上昇しているので現在の支払額だと金利の支払いがいっぱいで、もうちょっと金利が上がったら金利も払えなくなる。

 それで、支配額をふやさないと元金がいつまでも減らないし、都合からは元金が増えてうまうことになる、という説明でした。

 このとき知ったことですが、変動型の住宅ローンは、そ長期プライムレート(最優遇金利)の金利に連動して金利が変動するのですが、住宅ローンの上昇はその金利上昇以上に急激なカーブを描いて上昇します。

 プライムレートの上昇を上回って放物線を描くように上昇するのです。

 昨今の日本は、急激な金利上昇は考えにくいという経済状況ですが、10年後のことはわかりません。

 あのときのお客さんは、県外で仕事をするようになって収入が増えていたから大過なく済んだが、ほんとうにぎりぎりでの借入だったら家を手放さなくてはならなかったかもしれませんでした。

 このときの思いが忘れられないから、私は絶対に完全連動式の変動金利でのローンは勧めないのです。 

 もし、そんなローンでしか借入ができないお客様は家を買うべきではないと思っています。

 もし、「たったこれだけの支払いで家がもてますよ」という営業マンがいてそれが35年変動金利ローンでの計画だったら、1年後の借入残高をたずねて下さい。

 月々6万円、7万円にボーナス払いを加え、年間80万円、100万円を支払い、10年で1,000万円近い支払いをしてきたつもりのあなたは、借入残高を見て衝撃をうけるはずです。

 35年払いのローンでの10年後の残高は、あなたが想像する5割増し位の金額だと思います。

 元金はほとんど減っていません。

 10年後の借入額を知って、その時に金利が2%くらい上がっても返済に不安がなければ問題なしです。
 

 当社では、新築住宅の取り扱いは少なくて中古住宅の取り扱いを主としており、物件価格は1,500万円程度までで、返済期間は15年から長くても20年までがほとんどです。

 それで、私が一番お薦めしているのは、金利の固定期間を10年とする返済期間15年のローンです。

 返済期間15年の借入だと、10年後には借入残高は半分以下になっているので、万一その時に金利が上がっていてもなんとか対処できる範囲だと思います。

 住宅は自分たちが快適な生活をするための手段であって、住宅を買うことだけが目的となってしまってはいけません。

 くり返しになりますが、いくら借りれるかではなくて、いくらなら無理なく払えるかということを忘れないように購入計画をして下さい。

« テレビ報道の不確実 | トップページ |  瑕疵担保責任 »

05不動産情報館日記」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 住宅ローンについて:

« テレビ報道の不確実 | トップページ |  瑕疵担保責任 »

2024年10月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    
無料ブログはココログ