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2010年9月28日 (火)

全国自死遺族連絡会

 室内で自殺され賃貸住宅の借り手がないということで、遺族が家主や不動産会社から過大な損害賠償を請求されるケースが後を絶たないという。(読売新聞)

 それについて、不当な請求から遺族を保護しようと、全国自死遺族連絡会(仙台市・田中幸子代表)などが、近く、内閣府や民主党に法案化を養成する。

 連絡会によると、一般に自殺があった賃貸住宅は「心理的瑕疵(かし)物件」と呼ばれ、借り手がつかなくなったり、家賃が大幅に安くなったりするため、損害賠償の対象になる。しかし、最近は遺族の混乱やショックにつけ込み、家主らが改修費などを過大に請求するケースが少なくないという。

 例えば、2008年に神奈川県内のアパートで一人暮らしの30歳代の会社員が自殺したケースでは、遺族が家主から部屋全体の改装費用200万円と5年分の家賃の補償金約500万円を請求された。納得できずに弁護士に相談し、200万円を支払うことで和解した。

 宮城県内では、アパートで自殺した娘の火葬中に不動産会社が押しかけ、おはらい料や家賃補償として計約600万円を要求され、実際に支払った例もある。アパート全体の建て替え費として1億2000万円を請求されたケースもあった。

 いつも思うことだが、民事的な事柄で利害が対立する問題では、一方の意見だけを聞いて、相手側を一方的に悪者にしてしまうことがある。

 要するに、今の世の中ではマスコミが味方についた方が勝ちだ。

 ここ数年、悪の権化みたいに取り扱われている「追い出し屋」と言われる業種がある。

 「追い出し屋」という単語は「追い出される側」が名付けた言葉で、「追い出し屋」は理由もなく追い出しているわけではない。

 「追い出し屋」といわれる会社のほとんどは「家賃保証会社」だ。

 「家賃保証会社」というのは、入居者の滞納家賃を入居者に代わって家主に支払うことを業としている。

 当社も「家賃保証会社」を利用している。

 当社が利用している保証会社は、入居時に家賃の80%を支払うだけでその後の滞納家賃の保証をしてくれる。

 どこの不動産会社も家賃の滞納には頭と、心を痛めている。

 福岡の賃貸管理最大手の三好不動産の社長の書いた本によると、家賃の滞納率は約6%だそうだ。

 この本は随分前に出版されたものだから、今はもう少し滞納率が上がっていると思われる。

 家賃の滞納率が6%の場合、家賃保証で家賃管理している不動産会社は、管理料6%で管理ををした場合、管理料は立替金でちょうど消えてしまう。

 滞納者へはまず電話で連絡して入金をお願いする。

 しかし、なかなか思うように入金してもらえない。

 何度か電話しても入金してもらえない場合は、文書で通知することになる。

 結局は訪問して入金をお願いして、それでもなかなか家賃を払ってくれない入居者もいる。

 私は、家賃の集金が非常に苦手だ。

 人に督促するというのは楽しい仕事ではない。

 家賃が5万円だとしたら、6%の管理料だったら管理料はたかだか3000円だ。

 それをいただくために、何度も電話したり訪問したりして、相手に嫌がられているのはわかるが、集金する方も同じくらい傷ついているのだ。

 「家賃保証会社」は、そんな不動産会社に取っては救世主、女神様、天使みたいな存在なのだ。

 都会には荒っぽい取り立てをする会社もあるのかもしれないが、私たちが利用している「保証会社」は実に穏便に集金をしている。

 しかし、再三の督促にもかかわらず家賃を入れない入居者がいるわけで、そんな入居者については退去を促しているようだ。

 前にも書いたことだが、リストラにあって仕事が無くなった等の理由で家賃を払えなくなった人に対して、家を追い出すことは非常な人非人みたいに言われるが、入居者が一方的な弱者だとは言えないのだ。

 家主は常に強者かというと、そうではない。

 家主の立場に視点を変えてみると、家主の方が弱者というケースも少なくない。

 潤沢な金融資産、資産を背景に、余裕のあるアパート経営をしている人もいるが、精一杯の借金をしてアパートを建てて経営している人もたくさんいるわけだ。

 そんな家主が、家賃滞納で銀行ローンの支払いを滞った場合、銀行は待ってはくれない。

 だから、2~3カ月の滞納があり、そのごの家賃支払いの目処のたたない入居者には出てもらって、次の入居者を募集したいというのも同然だろう。

 遅れながらでも、少しずつでも支払っていくという姿勢があれば強制退去などは行なわない。
 家賃が遅れているのに連絡もくれない、こちらから連絡をとっても返答がない。

 そんな場合に退去を求めるのは当然ではないのだろうか。

 職をなくした人を保護するために、家賃無しで期限不定で入居を続けさせなくてはいけないという法律ができるとしたら、入居者の滞納家賃については国が保証するとか、せめて滞納家賃のせいで銀行ローンの支払いが困難になった場合には、銀行ローンの支払いを猶予するということにしないと賃借人と、賃貸人の均衡が保てないのではないだろうか。

 それた話が長くなってしまったが、賃貸住宅内での自殺の問題は、この家賃滞納と同じことだと思う。

 自分の身内が自殺した人にとっては、自殺という悲しい事実には同情する。

 しかし実際、自殺した部屋に新たな入居者が現れる可能性は非常に少ない。

 不動産業者は、賃貸物件を仲介するに当たっては重要事項説明で物件の詳細の内容を説明する義務がある。

 この重要事項説明で、自殺があった賃貸住宅は「心理的瑕疵(かし)物件」として入居者に事前に説明しなくてはならないのだ。

 事前にそういった事実を説明して、それを承知で借りる人はまずいない。

 そればかりでなく、気の弱い入居者の何人かが退去してしまうこともある。

 それに加えて部屋の全面改装も必要になるだろう。

 繰り返しになるが、銀行ローンをしこたま抱えた家主にとっては死活問題なのだ。

 だからといって、身内が自殺して悲嘆にくれている家族に、不当な請求をすることは許される話ではない。

 ただ、銀行ローンに追われて自分が自殺に追い込まれてしまいそうな家主が正当な損害賠償をするというのは理解してもらいたい。

 不当な請求から遺族を保護しようと、「全国自死遺族連絡会」などが、内閣府や民主党に法案化を要請するというが、片方に困窮する家主がいるのだということも分かっていただきたい。

 「全国自死遺族会」にお願いすると同時に、法案化に携わる政治家と官僚の方々にも、くれぐれも偏狭的な法律になってしまわないようにお願いしたい。

「不当な請求」から「遺族の保護」をするという主旨を重々お忘れなく対処していただきたい。
 つい最近も、消費者金融業者が多重債務の全ての原因だとして、「改正貸し金業法」を設立させた。
 「消費者金融」が「悪」と決めつけたため、消費者金融の存続が難しくなると同時に利用者の首もしめる結果となった。

 新たな借入や、借り換えができなくなった利用者から苦情が出たり、そんな利用者が「ヤミ金」と言われる悪徳金融業者に流れてしまうような弊害を生んでいる。

 ある日突然、事象の片面だけを見て、片方を規制してしまって、反対側の人を困窮に追い込むという愚策に陥らないようにお願いしたい。

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コメント

初めて訪問しました。
この自死遺族・・・の主張をニュースで読んで、
ものすごく憤りを感じました。
この偏った被害者意識自体が、息子や娘を自殺に追い込むこころを育ててきた責任と言うものは感じていないことに。

その主張のどれもが、自己中心的なもので、
親としての責任を考える時、至極当たり前のことを被害として受取るこの考え方に問題があるということを気がついていない馬鹿さ加減に憤慨しました。

わたしも賃貸物件には関わる経験のあるものですが、まったく持って身勝手としか言いようがありませんね。

この親にしてこの子ありです。

この厚顔無恥な親が、こどもの人生を作っていることを教えたいものです。

コメントありがとうございます。

難しい問題ですけどね。
どちらの側も、極端に行き過ぎると良くないと思います。

家主さんとしては適正な損害賠償はしてもらいたいだろうし、過大な損害賠償をする家主さんには対抗したいだろうし。

利益が相反する事柄について法制化する場合は、双方の意見を聞いて極力公平な処理ができるようにしてもらいたいというのが私の気持でした。

大家の立場のものです。私たちのようなケースもあるのであえて、書き込みさせていただきます。

私たちの場合・・6階のワンルームから女性が飛び降りまして、一階の学習塾の前に死体があったため、また発見者が子供だったこともあり、入居者が気味悪がって出ていかないかという不安でした。

借金をして母と私で建てて、新築2年目でしたので、当初のショックは大きかったです。問題は母が請求についてすべて不動産会社に一任してしまったことでした。不動産会社が不安をあおったと思います。(土地の価値が下がるとか)

私たちは亡くなった方や同居人の家族のことも知らないまま、不動産会社の方は勝手に法外な金額を請求していたのです。同居人は未だに住んでいてただこの請求のため家賃が未払いという状況が1年以上続いており、何度、不動産会社に言っても「任せてほしい」の一点張り。

最近になり、同居者が家賃を払っていたにもかっかわらず、私たちには未払いであると連絡していたかった事実がわかりました。

10年近く信頼していた不動産会社に対し、またお抱えの弁護士に対しても(弱者を守らず、あくまで不動産会社の言いなりのようでした)、不信感でいっぱいになり、管理会社を変えました。

なにも、苦しんでいる人からお金を取ろうなんで思いませんし、部屋の中で起こったことではないので、建物自体傷ついたことはなく、ちょっと評判が悪くなった程度で時とともに噂はなくなっています。賢い不動産会社や弁護士さんなら常識をもって対応してもらえただろうなとつくづく思います。

私たちのように本来代理であるべき不動産会社が勝手に請求している場合もあります。気を付けてくださいね。

残念ながら私も遺族会の主張には100%賛同できません。

都内で分譲マンションに居住しておりますが、棟内のあるユニットで持ち主がベランダから飛び降り自殺をしました。
ローン残債があったようで金融機関が差し押さえ、現在は業者間取引である不動産がかなりの安値で買い取ったようです。

元来このマンションは価格の高さも反映され静かな良識ある住人がほとんどですが、この自殺があった部屋を購入した不動産がかなり安い賃料で賃貸に出したのでマナーも悪く、他の住民への迷惑行為も全く意にしない人種が出入りするようになってしまいました。

理事会では大変頭を痛めております。法的処置を訴えるにしても裁判費用など莫大な金額になります。

自殺されたカップルは何故集合住宅を選ばれたのかわかりませんが、自分たちの死後、遺族に多大な迷惑がかかる事がわかっていれば、違った結果になったのではないでしょうか。

一軒家ならともかく集合住宅ではこういった事件があると資産価値の下落が周りにの住戸に及びますし、中には買手がつかず管理費・修繕積立金が支払われないような住戸もあると管理会社から聞きました。

御遺族の皆様は悲しみを抱えた上に精神的に被害まで受けたと御主張のようですが、実際には経済的に被害をこうむった人達はそのまわりにたくさんいます。多くはローンを組み購入したマイいホームが事情により転居しなければならない時には売却の処分さえできない状況に陥る方もいます。

同じマンション内にすむ住人としては「おはらい料」、もしそれが賃貸で住んでいた物件ならば貸しだせない最低期間の賃料を保障するのは当然かと思います。

御家族は身内の事ですが住人にとっては他人の身勝手な行為で物理的、精神的な迷惑を被る事は全く受け入れがたい事です。

私ならまず周りの方に迷惑をかけた事を謝罪する事からしますが、皆さんはなさったのでしょうか?

自殺した人も場所を選ぶ余裕なんてないですよね。
苦しんで場所も時も考えずに突然に駆け出して同居人も止めることができなかった・・・ようです。(当初同居人が男性なので、男女関係のもつれなどからベランダから突き落とした可能性がないかなど警察が調べましたが、女性が精神科に通院していた事実や男性が誠実に対応していたことから自殺と断定)

私どもの場合、不動産会社の担当者が1軒、1軒廻って、「このようなことがあり、ご迷惑を掛けてすいません。」と謝ったようです。

告知の義務からと、そして、もしこれ以上ここに住みたくないなら引っ越しのお手伝いをしますと連絡したようです。(もちろん引っ越しは大家の負担)
幸いにほとんどの入居者はあまり気にしなかったようですが、2,3戸の女性の入居者は私たちの別の物件や近くの別のアパートに引っ越しされました。その後、この物件に新規で人が入るのかも不安が残りました。(子供が発見者だったため親に広がり、そこから不動産会社に子供の気持ちを考えてほしいと言われたようです)

大家である私たちとしては住むのがいやになり出て行った方の分のみでもいいので賠償してほしかったところです。なので、数十万でしょうか。ただ、後から知ったことですが、自殺した方は母子家庭で、母親もかなり落ち込んでいて、お金が払えるような状態ではなかったようです。
私たち大家が驚いたのは、この方な事情の家族に対し、当初5000万円の請求を管理会社がしていたのです。その後、700万円、そして最近、同居人から(法的には自殺者とは一切関係がない)200万くらいなら分割して払えるかも知れないと話があったようです。同居人がいい人で本当良かった。普通ならもう逃げていてもおかしくないと思います。

この事実は管理会社から大家に一切入ってくることはなく、だいぶ後から弁護士を通じて初めてわかったことです。おそらく数百万は弁護士や管理会社が取るつもりだったのかも知れません。

どちらにしろ、精神的に病んでいるから仕方がない、自殺者の家族がかわいそうなど他人事であれば思いますが、現実問題、ことが起こり、入居者の減少に歯止めがかからないとなったばあいなど、やはり誰かに少しでもいいから弁償してほしいと思う気持ちは残ると思います。ましてや仮に室内でそのまま自殺や餓死で亡くなった場合などものすごい異臭や怨念のようなものが残ると聞きます。敏感な人は住めないそうです。誰が弁償するのでしょう?誰も何もできないなら泣き寝入りになるのでしょうか?

個人的には火災保険や地震保険のように保障会社も瑕疵物件に対応できるような保障や保険があるといいと思うのですが。請求額にガイドラインを引くことと同時に検討してもらいたいです。両方の立場を考えてもらいたいのですが・・。

大阪でマンションなどをあちこち経営している者です。
どなたがこの文面を書かれたのか、本当に家主の気持ちがわかっている人だなあと思いました。

「弱者保護」なんていいますが、私のマンションでは、新婚でほとんどが年収1000万円近いです。
奥様の収入を合わすと、軽く1000万円を超える人ばかりです。
こういう人のどこが弱者なのでしょうか? 
物事すべてを一派ひとからげで、考えるのはよくないです。

自殺もそうです。
私のマンションではありませんが、いつもその不安を抱えて経営しています。毎日その心配を抱えて経営してきました。
こんなことがおこったら、億単位で借り入れをしているのでたまったものではありません。即倒産になりかねない。いや、なります。

その意味で、ふらっとこのページに入りましたが、家主の気持ちを代弁している、「本当に賃貸経営をしている人だな」と、お正月そうそう、同じ考えの人がいて、うれしくなりました。

このコラムをがんばってください!ぜひ応援しますよ。心から応援します!

応援ありがとうございました。
ほめられすぎると、気恥ずかしい限りです。

家主さんの味方だけしているわけではありません。

横暴な家主さんにはずけずけと、苦言を呈する自分本意の不動産屋です。

極力、公平でありたいと思っています。

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