朝日新聞「be」『ナマケモノ倶楽部』
今日の朝日新聞土曜版beのコラムに、紙面の半分くらいを使って「朝活」を紹介していた。
「朝活」というのは、朝にいろいろ活動をすることで、最近増えている「婚活」「就活」などと「活」をつけた造語のことだ。
「朝活」がブームで、早朝からランニングをしたり、勉強をしたりと、精力的に活動するのが流行りだ。
「朝4時起きで・・」とか「5時半起き・・」と行った本も多数出版されている。
かくいう私も、「4時起き」も「5時半起き」も読んでみた。(見事に、読んだだけなのだが)
コラムでは、「朝活ブームの機運に乗じた商品やサービスも花盛り」という紹介に紙面を割いていた。
朝からつけめんを出している「朝つけ」の店、朝からラーメンを食べる「朝ラー」。
イチロー選手が食べているということに乗っかって「朝カレー」。
朝専用の缶コーヒー。(これはテレビコマーシャルでしょっちゅうお目にかかっている)
「丸の内朝大学」「ぎんざ朝大学」といったネーミングの勉強会やセミナーも多いそうだ。
朝の婚活や、朝の映画鑑賞会まであるという。
なぜ朝かというと、誰にも邪魔されず時間を自分で自由にできるのは朝しかないということなのだ。
本屋さんの自己啓発コーナーも、早起き礼賛本のオンパレードだ。
よだきんぼ(宮崎弁でなまけもの)の私は、よだきんぼのままでいいと思っているわけではない。
なんとか時間を有効に使って、勝馬和代さんをめざそうなどと思って、勝馬本なども手にしたこともあるのだが、よだきんぼは治らない。
そうこうしているうちに、人生も残すところわずかだなと思わざるを得ない年になってしまった。
そんな私にとって、今日の「be」のコラムには嬉しいことが書いてあったのだ。
「朝活」の紹介記事だから、当然朝活についてのあれこれがたくさん書いてあったのだが、終わりの方に朝活に対して懐疑的な意見がちょっとだけ書かれていた。これが私を嬉しくさせる意見だった。
「朝をめぐる盛り上がりに懐疑的な見方もある。『マスコミや企業に踊らされているのだろうけど、危険なものを感じます」こと語るのは文化人類学者でスローライフを目指すNGO『ナマケモノ倶楽部』の世話人でもある明治学院大学教授・辻信一さんだ」という辻さんの意見。
辻さんによれば、高度な消費主義に裏打ちされた現代社会の本質は「過剰」。現代人は何かをすることにとりつかれた「するする社会」に生きている。わずかなすきま時間も何かをしないと気が済まない。
でも「何をしているか」は問われても、「何のためにしているのか」は問われない。
そもそも、多くの伝統文化で、闇夜が明けて迎える朝は神聖な時間として扱われてきた。
「本来気ぜわしく何かをやるような時間ではなかった」という。
納得である。
さらに続く辻さんが勧める朝の過ごし方についての意見に嬉しいものを感じた。
辻さんが勧める朝の過ごし方は、老子が言うところの「無為」、何もしないこと。
「目が覚めたら今日もまた自分がここにいることに驚きと感謝を感じて過ごせばいい」と言っていた。
「すること」よりも「いること」の大切さに気づくことが、自分への肯定感や幸福感につながるのだと言っていた。
本屋さんを除くと、勝間本に代表される自己啓発本が山積みで、それにばかり目が行っていた。
「目が覚めたら今日もまた自分がここにいることに驚きと感謝を感じて過ごせばいい」
「すること」よりも「いること」
なんと、やさしいひびきの言葉だろう。
自分が無為に生きてきたことを少なからずも後悔せざるを得ない私だったが、辻さんの言葉に救われた気がして嬉しくなった。
« アリジゴクのおしっこの教え | トップページ | ギャラクシーかレグザか »
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 袴田事件再審開始決定(2023.03.20)
- 大谷選手は最高の清涼剤(2023.03.08)
- マイナイバーカード狂騒劇②(2023.03.04)
- マイナイバーカード狂騒劇(2023.03.02)
- 痛い3月1日(2023.03.01)
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 元彼の遺言状(2021.05.29)
- 三島由紀夫命日 没後50年(2020.11.25)
- 図書館VS出版社 図書館の新刊貸出1年延期(2015.12.07)
- 「ラスト・スタンド」アーノルド・シュワルツネッガー(2013.05.01)
- 「長生きしたけりゃ肉を食べるな(2013.02.01)
コメント