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2010年12月 7日 (火)

諫早湾潮受け堤防 開門を命じる 福岡高裁判決

 福岡高裁が諫早湾の潮受け堤防の開門を命じる判決を下した。

 潮受け堤防の工事では、「ギロチン」という呼称で話題になった数百枚もの鉄板が次々と海に落とされていくシーンが衝撃的な記憶として残っている。

 諫早湾の干拓事業の構想は、農業が基幹産業であった戦後間もない1952年のことだった。
 その後時代は変化し、米は余り、国が休耕田を奨励するようになり、埼玉県と同じ広さの農地が余る時代になりつつあった。

 1989年、干拓事業は名目を防災に変えて工事を着工した。

 総事業費2,533億円。

 当時から、無駄な公共事業で環境悪化につながるということで激しい反対運動も起こっていた。

 当時野党だった菅さんもと、「走り出したら止まらない公共事業の典型」と猛反対をしていた。

 もともとの事業の目的であった干拓事業の意味を失っているにもかかわらず、事業は強行された。

 2,533億円の無駄遣い。2,533億円である。

 莫大な無駄遣いをしたのではない。

 莫大なお金を使って、環境を悪化させ、未来に向かって経済的な損失を与えたのだ。

 開門を命じる判決により、開門したとしても、環境が改善するかは疑問である。

 開門当初は、潮受け堤防内によどんでいた水や澱が流れだして、より環境の悪化を招きはしないか。

 一方では、干拓地内の営農者は開門による塩害を心配しなければならない。

 開門後、今度は営農者から潮受け堤防閉鎖を求める訴訟が起こりはしないか。

 少なくとも、開門による農業被害の保証を訴えられることだろう。

 走り出したら止まらない公共事業と言われるが、走り出した公共事業をどう止めるかは簡単な問題ではない。

 注目されている大型公共事業として「八ッ場ダム」「川辺川ダム」があるが、止めるというと止めるなという人がいる。

 八ッ場ダムの総事業費は4,600億円。川辺ダムが2,650億円。

 その莫大な予算にかかわる人たちにとっては、工事自体が死活問題だろう。

 どんな事業にも推進派、反対派がある。

 それぞれが、それぞれの理論で賛成し反対する。

 しかしそれは、本当にいいことは何かではなくて、自分の利益にとって何がいいかが問題なのではないだろうか。

 これは私の暴論だが、「金で済むことであれば、金で済ませたほうがいい」という理論はどうか。

 八ッ場ダムや川辺川ダムの建設を止めることが正しい方法だという結論がでたら、工事は中止する。

 そして工事を継続したらかかるであろう費用を、そのまま補助金として推進派に提供するということにするわけだ。

 ダムによる環境や生態系の破壊は大きな問題であり、いったん破壊された環境や生態系は回復できない。

 推進、中止、どちらが正しいか決定的にわからないのであれば、環境・生態系の破壊があきらかな工事は中止するべきではないか。

 そして、それによる損失を被る人たちには損失に見合う補助金を支払った方がいい。

 無駄遣いはやめられなくても、破壊した環境や生態系をもとに戻すための費用の削減はできる。

 諫早湾の潮受け堤防を悪い方の手本として、真剣に建設の是非を考えるべきだろう。

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