ATL(成人T細胞白血病)とHTLV―1ウイルスそしてHAM(脊髄症)
ATL(成人T細胞白血病)という病気がある。
余り知られてなかった病気だが、死亡率のきわめて高い難病で、最近では元宮城県知事の浅野史郎さんが発病したことで、その名を知られてきた。
ATL(成人T細胞白血病)はHTLV―1ウイルスによって引き起こされるのだが、患者・感染者が九州・とき縄地方に集中していたことから「風土病」と言われていたこともある。
HTLV―1ウイルスはATL(成人T細胞白血病)の他に、下半身麻痺が進行し歩けなくなるHAM(脊髄症)も引き起こす。
国内感染者は120万人。ATL(成人T細胞白血病)・HAM(脊髄症)の発症者はキャリア(感染者)の5%だが、発症のメカニズムは解明されていない。
自らもHAM(脊髄症)を発病している菅付(すがつき)加代子さんは、2005年にNPO法人「日本からHTVLウイルスをなくす会」を立ち上げ、国に予防策を要望してきた。
会は、感染予防、感染者対策、疾病対策を国に求めているが、HTVLウイルスが主に母乳等で感染することから、早急に公費負担で全国一律の妊婦健診の実施を要望していた。
菅付さんは30代に輸血で感染して、30代でHAM(脊髄症)を発症した。
そして2005年に「日本からHTVLウイルスをなくす会」を立ち上げ、居住する鹿児島から何度も厚労省に足を運び、対策を要望してきた。
しかし、車椅子での必死の陳情も虚しく、何度行っても門前払いであった。
その間に多くの仲間たちを亡くした。
そんな菅付さんに援助の手が差し伸べられたのは、皮肉にも、元宮城県知事の浅野史郎さんのATL(成人T細胞白血病)の発病だった。
浅野さんが、菅付さんのこれまでの努力を後押ししてくれた。
それまで、何度行っても門前払いだった厚労省の門が開いた。
その後、管首相は患者団体に対して、ATL対策を放置してきたことを政府として反省すると述べ、母子感染予防のための全妊婦抗体検査を全国一律、公費負担で行う意向を示した。
総合的な解決はまだ整っていないが、まずは解決への第一歩を踏み出したことは喜ばしいニュースだ。
それにつけても、国の弱者に対する姿勢には、怒りを感じる。
弱者の切なる願いは、常に無視をされる。
浅野史郎さんの働きかけがなかったら、今も門前払いを続けられていたかもしれない。
弱者の声を取り上げてくれる組織はない。
弱者は集団となって声をあげ、その声をいやでも国に取り上げてもらうような工夫をしなくてはならない。
チュニジアに続いて、強固に辞任を拒否していたエジプトのムバラク大統領も辞任に追い込まれた。
日本では、国民の声が大きな波となって国政を変えるということはないのだろうか。
政治家や官僚が痛みを感じることなく、消費税増税に手をつけることになったときには、国民みんなで「おかしい!」と大声で叫ぶことだけはしよう!
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