以前(平成22年11月21日)、私は「赤い羽根共同募金」について書いた。
末端の募金活動は無報酬のボランティアにやらせているが、理事や会長が高額の給料をとっているのではないかという疑問を呈した。
そして、共同募金会で働く職員さんの数や給料について興味があった。
おそらく全国で数万人の有給職員がいるだろうし、その組織の長は数千万円の高給をとっているだろうと想像していた。
しかし、そのデータを探すことはできなかった。
そんなもやもやした気持を、今週の週刊新潮(6月2日号)が晴らせてくれた。
いや、晴らせてくれたという言葉はふさわしくない。
怒りを増幅させてくれたと言うべきだろう。
私は、本に使うお金は惜しまないのだが、週刊誌にお金を使うのには少々抵抗をもっている。
新聞広告で興味をそそられて本屋でちらっと立ち読みすると、お金をだして買うまでもない内容のことが多い。
それで、週刊誌は、新聞広告で気になったタイトルのみを立ち読みするのが常だ。
今週の週刊新潮はちゃんとお金を払って購入した。
「日本赤十字の怠慢」という記事が私の長年の疑問に答えてくれる部分があったからだ。
この記事は、東日本に大震災で日本赤十字社に寄せられた義援金の処理について批判していた。
日本赤十字社(以下、日赤という)に寄せられた義援金は約2046億円に上がる。
このうちの一部が気仙沼市の口座に始めて振り込まれたのは、震災から約2カ月後の5月9日のことだったそうだ。
どうしてこんなに時間がかかるのだろうか。
日赤が集めた義援金は、まず政府の設置した「義援金配分割合決定委員会」が配分割合を決定し、それを参考に各都道府県の義援金配分委員会から依頼のあった金額を日赤から送るという手はずだそうだ。
日赤は義援金の配分については、都道府県の義援金配分委員会に丸投げ状態なのだ。
5月16日の時点で、日赤から各県の配分委員会に送られた義援金は約707億円。
1300億円以上の義援金は被災地に送られることなく、日赤ル口座に眠っているという。
送った人は、一国も早く被災した人に届けてくれるだろうと期待していたはずだ。
私も同じ気持で、震災の次の日に日赤に寄付金を送っている。
そんな支援者の気持はまったく無視され、半分以上の金が震災から2カ月以上も経った今も使われないまま日赤の口座に眠っているというのだ。
私は、ことあるごとに日赤に寄付金を送ってきた。
災害が起こると無数の寄付金募集組織ができるが、赤十字が一番明朗だと思って、日赤を寄付先にしていた。
しかし、考えてみると日赤も「赤い羽根」同様、巨大組織なのだ。
週刊新潮によると、日赤の有給職員は5万9千人にのぼる。
歴代社長のうち12名は天下り。
社長の給与は、次官級の2500万円。
都道府県に支部があるが、支部長は都道府県知事。
実権を握っている事務局長は、県庁の民生部長や生活部長の天下りボスト。
その体質は実に官僚的で、本当に必要な救援活動ができないのはこの官僚的体質によるものだろう。
公平な分配に気をまわしすぎで、今被災者が何を求めているのかに無関心だとしか思えない。
今、被災者が困っているはお金。
被災者全員にとりあえずの資金を届けることだ。
記事の中で、五十嵐仁 法政大学教授が「まず集まった義援金の半分程度を、各自治体を通じて全ての被災者に一定額配るべき。その後、被災状況に応じて、たとえば使者は幾ら、住宅全壊世帯は幾ら、と追加して平等にすればいい」と言っておられるが、そのとおりだと思う。
「最初から平等性を考えて支給が遅くなるなら、平等性は後でも良い」ということだ。
私は、「赤い羽根共同募金」に寄付はしないことにしている(街頭にたつ高校生たちを悲しませたくないから、募金箱に100円玉を入れることはあるが)が、今後寄付金は日赤には送らないことにした。
東日本大震災には今後も何度か義援金を送ろうと思うが、以後は自治体が設けた口座に振り込むことにする。
最近のコメント