所有者不在の空家対策
全国的に空家が増加している。
少子高齢化のせいがそれに拍車をかけている。
過疎地や田舎だけの問題ではなく、都市部でも空家が増えているという。
管理が行き届かない空家は、近隣の住環境に悪影響を及ぼす。
雑草が生い茂ったり、割れた瓦が飛んだり外壁が壊れ落ちたり、近隣の景観のみならず危険を及ぼす場合もある。
しかし、空家であっても所有者の了解無しには、勝手に立ち入ることもできないし修繕することもできない。
登記簿で所有者を調べて連絡がとろうとしても、登記簿上からは所有者の現住所はわからない。
また、登記簿上の所有者が亡くなっていて相続登記(名義変更)をしていないことも多い。
この場合相続人を探して了解をとらなくてはいけないのだが、これを個人的に調べるのは不可能とも言える。
相続登記(名義変更)をしていなくても固定資産税の納付義務が発生しており、市町村では相続人が掌握できている。
ただし、所有者の関係人いがいの個人がその情報を手に入れることはできない。
隣の家の雑草で迷惑しているということや、壊れた雨樋が垂れ下がっていて危ないといった程度では、所有者の所在を教えてはもらえない。
もし壊れかけている建物が危険を及ぼすということであれば市町村も動いてはくれるだろうが、それでも所有者の所在は教えてらもらえないだろう。
おそらく市(町村)は納税記録により固定資産税の納付義務者に郵便で連絡をとるだけだろう。
それで相手が動いてくれたらいいのだけど、なかなかそうはいかない。
そんな場合でも、市(町村)は再度文書を送り、「通知はしているのですけどねえ。連絡がとれないんですよ」ということでお茶をにごすことになるだろう。
放置したままだと、近隣の安全を脅かすというような事態になったときなって始めて市(町村)が動きだすことになるだろう。
国の08年の統計調査によると、全国の空家は約757万戸。
実に空家率は13.1パーセントに達している。
半分は賃貸用住宅の空家だが、所有者の死亡や長期入院等での居住者不在の住宅が約268万戸になるという。
少子高齢化でますます空家は増えていく。
埼玉県所沢市のように、空家管理条例を制定し管理不全な空家の所有者に対し、指導・勧告できる仕組みを整えた自治体も出てきているが、空家をどう生かすかを真剣に考える時代がきている。
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