女性タレント市議の当選無効と居住用財産(マイホーム)売却の際の税金の特例
今年2月の埼玉県新座市議選挙で当選していた立川明日香さんの当選が無効との判定が下った。
立川さんは2月19日投開票の市議選で当選し、「美しすぎる市議会議員」と話題になった。
当選後、市民から、市に生活の本拠が無いとの意義申立があり、市選管が調査していた。
公職選挙法で「引き続き3ヶ月以上選挙区内に住所がある」という要件をみたしていなかったとみなされたというわけだ。
市町村議について公選法で定められた「引き続き3か月以上、選挙区内に住所がある」との被選挙権の要件を満たしていなかったとされた。
立川さんは昨年9月20日に同市に転入したものの、住民票に記載された住居では、今年2月まで水道が使われていなかった。
また、電気の使用もわずかで、ガスの契約は当選後だった。
最高裁は公選法の規定について「意思だけでは足りず、客観的に生活の本拠たる実態を必要とする」との見解を示しており、公職選挙法の立候補の要件を満たしていないということになった。
当選無効の決定に不服があれば、告示から21日以内に県選管に審査申し立てを行うことができる。
県選管の裁決にも不服があれば、その告示から30日以内に高等裁判所に提訴できる。
最終的な決定まで議員の身分は保障される。立川さんは申し立てを行う意向だという。
立川さんは記者で、「居住実態とは何なのかわからない。選管からの説明もなかった。今回の選管の判断は疑問がある」と言っている。
「居住実態とは何なのか」を「選管が説明していない」というが、「居住実態」とは文字どおり「本当にそこで生活しているのか」ということだ。
生活をするということは、そこで寝て、起きて、飯を食って、風呂に入って、選択をしたり、テレビを見たり本を読んだりすることだ。
生活をするということは、水も使い、電気も使い、ガスも使わなければできないことだ。
そもそも、そこに住んでいないことは周囲がそう認めていて、その証としての水道、電気、ガスの話なのだが、田中さんは、「選管の判断に疑問がある」とのことで不服申立をすると言っている。
問責決議を受け、辞めてほしいという世論にもめげず、大臣職を辞任しない国家だから、市会議員がそれにならうのはしかたがないとも言える。
しかし、高等裁判所の最終的な決定まで立川さんの身分は保証される。
それまでは税金から議員報酬は支給されるのだろう。
立川さんの職業はタレントというから、もめてマスコミが取り上げてくれると、無料でプロモーション活動をもらっているようなものだから、当面意義申立は取り下げないだろう。
税金を使ってタレントのコマーシャルをするようなものだと疑問が残る。
さて、この「居住実態」ということで似たような問題になるのが、「居住用財産を売却したときの税金控除の特例だ。
居住用財産を売却したときはさまざまな税金控除の特例がある。
居住用財産とは、すなわちマイホーム。
マイホームを売った際の一番有名な特例に「3,000万円控除」という特例がある。
売却益から3,000万円を控除するというものだ。
普通、自分の家だけが所有の不動産という人が大多数だが、なかには家を複数所有する人もいる。
そんな人の中に、売る方の家に住民票だけ移して「居住用の3,000万円控除」を受けて税金を免れようと考える人がいる。
何度か、そんな相談を受けることがある。
しかし、3,000万円控除というのは、日本の税制で控除額の最高額であるから、当然税務署の調査も厳しくなる。
だから、「住民票を移して税金を免れようとしても駄目ですよ。ばれたら、追徴金を加算された税金を払うことになりますよ」といさめることになる。
住民票を移動して、その後比較的短期間のうちに売却したものについては調査が入ることを覚悟しておいた方が良い。
調査については、水道、電気、ガスの使用料も当然調査されるだろう。
さらに、近隣の人たちにもそこに居住の実態があったかどうかを聞くことになる。
立川さんの居住実態についても、選管は近隣の住民に聞き込みしていることだろう。
公職選挙法では、「3ヶ月以上」と期間が明確にされているが、居住用財産についての居住期間は明記されていない。
例え1年間、住所を移してそこで生活をしていたとしても、売却のために一時的に引越していたというのが実態であれば、税務署から否認されることもあり得る。
しかし、実際に1週間しか住んでいなくても居住が認められる場合も考えられる。
例えば、サラリーマンが家を新築していて、その間に転勤の辞令がでて新居にほとんど住むことのないまま売却するというような場合は居住用として認められるだろう。
実際、当地(宮崎県の北端の街、延岡市)の主幹大企業である旭化成の社員さんには、新築して数カ月で転勤になった人がたくさんいる。
ただし、新築した時の金額より高く売れることはないので、特例を使うにはいたらないが、バブルの頃に譲渡益がでるような取引があれば特例は使えたことになる。
税金の場合の「居住実態」は期間制限は無制限とも言える。
市会議員になりたかったのなら、たった3ヶ月の期間くらい、その町に住めば良かったのだ。
立川さんは職業がタレントさんというが、市会議員を続けるのなら、新座市に居を移しているのだろうか。
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