建築制限のある土地、急傾斜地区。
昨日、土地売却の相談を受けた。
当市の玄関口・延岡駅から歩いて10数分のところにあるのだが、すぐ裏に山をひかえている。
のびっぱなしになった樹木が土地に覆いかぶさってきていて、鬱陶しい感じのする土地だ。
近傍の土地の価格は、坪当り11~12万円といったところだが、この土地は6万円~8万円/坪でないと売れないだろうと思った。
その旨を単刀直入に伝えた。
所有者としては、8万円か9万円/坪で売れないかと言われる。
努力はするけど、希望価格を下回っても、安ければ買ってもいいという人がいたら売られた方がいいですよという助言をしておく。
最終的には、所有者の判断に従うしかない。
その場で売却価格は決まらなかったが、とりあえず土地の調査をすることにした。
公図を取り、登記簿謄本(登記事項証明書)で地積等の土地の内容と、所有権等の権利関係を調べる。
そして、すぐ近所に私の知り合いの名前を見かけたので、一応声をかける。
不動産の売却の依頼を受けたら、まず近隣に話をもっていくというのは不動産業の鉄則だ。
知人は、「えっ?」という表情だった。
放置状態になっている土地で、古くなった建物が近所に迷惑をかけているとのこと。
それで、安ければ自分で購入しても良いと思っていたようだ。
さらに、この土地には家は建てられないとも言う。
ただし、知人は家が建てられないという理由は知らなかった。
市役所の人からそう聞いたというのだ。
となると、土地価格はさらに安くなってしまう。
駐車場か家庭菜園としてしか利用価値がない。
この土地の状況で家が建てられないというのは、「急傾斜地区」に指定されているということなのだろうと私は判断した。
急傾斜地区とは言葉の通り、崩れる恐れのある急勾配の山を背負っている土地のことで、土砂崩れ防止の工事が必要になる。
それで、市の土木課と建築指導で調査をしてみると、案の定「急傾斜地区」に指定されている。
急傾斜地区に指定されたからといっても家が建てられないわけではない。
ただ、建築にあたっては土砂崩れ防止工事をしないと建築の許可がもらえない。
どういった工事をすればいいのか聞いてみたが、まずはボーリングで土質調査をして、土地の質によって工事が決まるので、前もって概算費用を出すことはできない。
さらに、「土砂崩れ防止工事は、土砂災害防止法という法律に規定されているのだが、その基準が厳しくなって、該当地域の住人に説明を始めたところだ」と言う。
昨今の大雨による大災害で工事の基準が厳しくなっているらしい。
知り合いの測量コンサルタント会社に聞いてみたが、まず調査だけで数十万円はかかるとのこと。
工事費用については、計算してみないとわからない。
少なくても100万円200万円ですむ話ではないようだ。
3、4日前に、土地価格に関連することで地盤調査のことを書いたが、今度は土砂崩れ防止工事費用が問題になってしまった。
下手をすると工事費用で土地代が飛んで行ってしまう。
私の判断は、整地して近隣の人への月極め駐車場として貸すか、工事代を差し引いた計算で、極端に安く売るということだ。
調査結果の詳細を報告し、所有者の判断を待つことになった。
それにしても、不動産ってのは奥が深い。
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