無料相談。家賃保証会社の件。
今、女性のお客様が来店された。
事務所にはセールスマンが入ってくることもあるが、一応来店された方には「いらっしゃいませ」と言って応対をしている。
「いらっしゃいませ」と声をかけると、「○○さんの紹介で来たんですけど、相談にのっていただきたいことがあるんですが・・・」とおっしゃる。
「○○さん」は、数年前に住宅を売らせていただいたお客様だった。
過去に取引をしたお客様から紹介されて来たお客様は有効な商談になることが多い。
ちょっと嬉しい気分で、「まあ、お座りください」と言って椅子を勧める。
「どういったご相談ですか?」とこちらが切り出す前に、「いろいろあって主人と離婚することになったんですけど・・・」と話始めた。
おいおい、初対面の私にそんな話をするのかい、と思いつつ話を聞いた。
「○○さん」から紹介をうけているせいか、ご自分のこみいった家庭の事情も平気で話してくる。
「離婚するので子どもと住むためのアパートを探そうと思って・・・」と言う。
そのためのアパートを探してくれということかなと思って、話を聞く。
すると、「それですごく気に入ったアパートを見つけたんだけど・・」と来た。
ということは、そのアパートの仲介をしてくれということかなと思う。
しかし、話は私の思ったようには進まない。
「そのアパートを借りようと思って申込みをしたのだけど・・・」と言って、手に持っていた書類を出す。
その書類に署名捺印をしないといけないが、何か自分に不利益になるのではないかという相談なのだ。
おいおい、他の不動産屋さんで借りることになっている物件の相談かい?と思いつつ、彼女の出した書類を見る。
それは、家賃保証会社の「個人情報の取り扱いに関する条項の同意書と、保証委託契約内容に関する重要事項説明」だった。
ということは、気に入った物件を他の不動産屋さんで見つけて、正式に申込みをしているということなのだ。
それで、どういう相談があるというのだろうと思いつつ話を聞くと、この書類に署名捺印をして自分の不利益はないのか、という相談なのだ。
心配で、「○○さん」に相談したら、私に相談してみるといいと言われたとのこと。
当地(宮崎県の北端の街、延岡市)の不動産会社のほとんどは、アパート等の賃貸借契約に際して家賃保証会社の保証を条件にしている。
家賃保証会社は入居者が家賃を滞納した場合に家賃を立て替えて支払ってくれる会社だ。
いったん家賃を立て替えるが、立て替えた家賃を入居者に請求するというシステムになっている。
不動産会社は滞納者の家賃請求の手間がなくなるので、ほとんどの不動参会者が保証会社を利用している。
したがって、保証会社に保証を断られると、希望している物件は借りれないことなる。
保証会社の仕組みと、その書類の説明をしてさしあげた。
他の店で買おうと思っている服を持ってきて、「これ私に似合うかしら?」と相談に来られているようなもので、愉快な相談ではない。
紹介者の手前、丁寧に応対してさしあげたのだが、さらに相談は続く。
「主人が借金が多かったのだが、保証は受けられるだろうか。」というのだ。
内心では「知らんよ。そんなこと」と思いつつ。
「それはわかりません。保証会社の判断だから」と答えるしかない。
当社が申込みを受けたわけではないのだから、勤務先も年収もわからないし、わかりっこないのだ。
「借りれないと困るなー。すごく気に入っているし、子どもの学校にも都合がいいから・・・」と勝手なことを言っている。
「保証会社に保証を断られるケースは少ないから、心配しないで申込みをしてみたらいいですよ。」と言って、早々にお引き取り願いたいのだが、なかなかお帰りにならない。
帰ってくれとも言えなくて、あれこれお話のお相手をして、やっとお帰りいただいた。
お客さん、いやいや無料相談者は、「ありがとうございました」の言葉も言わずに店を出て行った。
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