またやってしまった。お客様への冷たい応対。
昨日、知り合いの女性が来店された。
当社から100mくらいのところにテナントビルを持っておられる。
そのビルは1、2階がテナントで、3階が自宅になっている。
女性は82歳というご高齢で、エレベーターのない3階では上がり降りが大変なので、別なところに一戸建を借りて暮らしている。
その借家も当社と同じエリアにある。
延岡駅から徒歩5分。バス停までなら徒歩3分。
駅を中心として形成された商店街から横道に入って2、3軒のところにある古い住宅だ。
その女性が、先日から当社の前を通るたびに店頭に貼っている借家の募集ポスターを眺めていた。
昨日も、店頭のポスターを時間をかけて眺めておられたのだが、入口のドアを開けて入って来られた。
「どうされましたか?」と声をかけると、「近くに一戸建の借家はないだろうか?」とたずねられた。
「どなたが借りるのですか?」と聞くと、自分だという。
相当古い住宅なので住むのに不都合なことが多くなったのか、それとも家主の都合で退去を求められているのかと思い、「不便なことでもあるんですか? それとも退去を求められているのですか?」と聞いてみた。
すると、そのどちらでもないと言う。
人生の大半を街中で暮らしてきた方だし、ご高齢で足も弱っておられるので、郊外のアパートは好まれないと思いつつ、ご希望を聞いてみると、当社の周辺で一戸建の借家がいいと言われる。
創造した通りのご希望だが、この周辺は昔からの商業地で、ほとんどの建物が店舗か、1階が店舗で2階が住居というものばかりである。
一戸建の貸家など、とんと見かけない。
アパートもそんなに多くはないのだが、アパートやマンショではどうかと聞いてみたが、一戸建じゃないと嫌だと言う。
無い物ねだりをされても力になりようもないし、今の家に不満も無くて、家主に退去してくれとも言われていないのに転居先を探す理由がわからない。
それで、「今の家に不満も無くて、家主から退去してくれと言われているのでないのなら、そのまま住んでいたほうがいいですよ」と助言をしてあげたのだが、なんとか探して欲しいと言うのだ。
待っていればそのうち見つかるような物件なら、「探しておきます」とでも答えるのだが、今の家より条件がいい物件がでる可能性は少ない。
だから、何度も「今の家に不満がないのだったら、面倒な引越しは考えない方がいいですよ」と言うのだが、どうしても引越ししたいようだ。
なにかわけがあるのだろうと思って、突っ込んで聞いてみるが、別に意味はないと言う。
そんなはずはないと思って、何度も同じ話の繰り返しをしていた。
すると、「(今の家を)20年も借りていているから、出ないと家主に悪い」というのだ。
私には納得できない話だ。
家主さんから出てほしいというような話は一切無いというのだから、わけがわからない。
「家賃を払っているんだから、変に家主に気をつかわずに借りていればいいですよ」というと、「いずれは出なくてはいけなくなる」とも言われる。
なにかわけがあるのだろうけど、希望する物件がそもそも少ないし、それに80歳を超す高齢者を引き受けてくれる家主はもっと少ないのだ。
女性が、なかなか私の意見を聞き入れないので、気分をこわす話だとは思ったが、高齢者の入居を引き受けてくれる家主がいないという説明もした。
すると、自分が今の家で死ぬと家主に迷惑をかけるから、他の家に引っ越したいという気持ちもあるのだと言う。
もう、私の頭は混乱。
私の頭が混乱するときは、相手が本当の事を隠して話をしていることが多い。
本当の事を隠しているから話に矛盾があって、話を真に受けて応対している私の頭が混乱することになるということが多いのだ。
この女性の話も、何か肝心なことを隠しているのではないかと思う。
今の家主に迷惑をかけるといけないから引っ越すというのが家探しの理由だが、それでは次の家主に迷惑を持ち込むことになる。
今回は、今はご希望の物件が無いので、心がけて探しておきます、ということでお引き取りを願った。
それにしても、80を過ぎた高齢者に、「高齢者を引き受ける家主はいない」と言ってしまったことに、少なからず反省した。
はっきり言うことが役に立つこともある。しかし、正しいからはっきり言えばいいということばかりではない。
充分、年を重ねてきても、欠点はなかなか直らないものである。
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