またまた、相続で、ひと波瀾?
またしても、売買予定の土地の相続で問題が発生した。
まだ具体的な商談にかかる前の話で、問題が発生したわけではなくて、問題が発生しそうになったというのが正しい。
これも、相続登記が終わっていない土地だったので、先に相続登記をすませておいた方がいいと助言したところ、「すぐに登記を変えておきます」との返事が来た。
「すぐに?」。市役所に申請でもすればすぐに名義が変わるくらいにしか思っていないようだ。
相続登記はそんなに簡単なものではない。
庶民にとって一番の高額の財産である不動産の名義を変えるのだから、厳格な手続きをとらないと名義は変わらない。
相続人は他にいないか、他の相続人の同意はとれているか、厳密な書類を揃えなくてはならない。
複数の相続人がいる場合、他の相続人の同意の意志確認が必要になる。
それぞれの意志確認の証として、相続人全員が印鑑証明書を添付して実印をついた申請書を作成しなくてはならない。
相続人に亡くなっている人がいると、代襲相続といって、相続権がその子どもに引き継がれる。
親は納得していた話でも、その子どもになると納得しない場合もある。
先日、私が遭遇したように、相続人が行方不明で、裁判の手続をとらないと相続できないということもある。
今回の件の土地所有者は県外におられるので、当地にいる妹さんに話を聞きに言ってみた。
売却依頼を受けている土地については、私の依頼者が所有者であることには問題はないという話だった。
次に、兄弟姉妹(すなわち推定相続人)で亡くなった方はいないかとたずねてみると、亡くなった者はいないという。
ただ、お姉さんが施設に入っているという。
施設というのは老人の施設のことのようだ。
施設に入所している方が、寝たっきりや認知症で意思表示ができない状態だとまずいことになる。
それで、お姉さんの状態を聞くと、認知症を生じているという話だった。
認知症の状況にもよるが、意思能力が無いと思える状態だと、相続の同意がとれないことになり、相続登記はできない。
どうしても、その土地を売らなくてはいけない事情がある場合は、裁判所に許可を受けて売却をするという方法はあるのだが、簡単ではないし、手続きに3~4ヶ月は要する。
それに、意思能力の確認できない認知症のお姉さんの取り分をゼロにすることは難しいだろう。
少なくともお姉さんの法定相続分を認めて、その相続分についてはを裁判所に認めてもらった財産管理人が管理するということになるだろう。
この3ヶ月くらいでの相続がらみの話が連続3件、相続困難な話になってしまった。
相続登記において強大な力を持っているのが、公正証書による遺言だ。
公正証書遺言で、相続財産の相続人を指定しておけば、むずかしい手続き無しに相続をすることができる。
不動産については、公正証書遺言書があれば相続人の同意や印鑑を必要とせずに相続登記ができる。
後に残された者に対する思いやりとして、ぜひ遺言書を作っておくことをお勧めしたい。
それは、死が目前になってからできるものではなく、死がまだ遠い存在の元気な内に準備することが大事だ。
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