朝日新聞の寄稿文が、私にとって初めての村上春樹さん
昨日の朝日新聞に作家の村上春樹さんの寄稿が掲載されていた。
村上さんは世界的にも有名な作家で、最近もベストセラー「1Q84」で話題を提供している。
私は小説を読むという習慣がなく、村上さんの本を1冊も読んだことがない。
「1Q84」が話題になったときに、有名な「ノルウェーの森」を呼んでみようと思って図書館で借りてきたが、最初の数ページを読んでみて、それ以上読み進める気にならなかった。
テレビのバラエティー番組に犯されている私の脳みそは、村上さんの文章をすんなりとは受けつけなかった。
もう一つの理由は、私は物を斜めに見る悪い性格だもので、台湾や中国の書店の売り場から姿を消したことが原因で寄稿を寄せたのではないかと思ったからだ。
中国と台湾では、村上さんの作品ののほぼすべて訳されて出版されている。
それらがすべて発売されないことになったら、作家としては知的満足もそこなわれるし経済的な損失でもある。
だから寄稿したのではないかという、うがった考えが、かすかにだが、頭をよぎった。
しかし読み進めていて、そんなさもしい考えはみごとに覆された。
私なんぞの浅薄な考え方とはまったくベツモノの深い文章だった。
村上さんが領土問題に触れ、「(領土問題は実務的な問題だが)領土問題が実務問題であることを超えて、『国民感情』の領域に踏み込んでくると、それは往々にして出口のない、危険な状況を出現させることになる」と言っておられた。
それを「安酒の酔いに似ている」と例えていた。
そして、「安酒はほんの数杯で人を酔っぱらわせ、頭に血を上らせる。人々の声は大きくなり、その行動は粗暴になる。理論は単純化され、自己反復的になる。しかしにぎやかに騒いだ後、夜が明けてみれば、、あとに残るのはいやな頭痛だけだ。」
さらに、「そのような安酒を気前良く振る舞い、騒ぎを煽るタイプの政治家や論客に対して、我々は注意深くならなければならない」と続けていた。
「安酒の酔い」の話と、「安酒を気前良く振る舞う政治家や論客に注意しなくてはならない」というのは、私が前々から何度か書いてきた、為政者に対する不安を適格に表現してくれる言葉だ。
橋下大阪市長の歯切れの良い発言に、国民がいっせいに雪崩をうって支持する傾向にあるが、「我々は注意深くならなければならない」という思いを再認識させられた。
そのような安酒を気前よく振る舞い、騒ぎを煽(あお)るタイプの政治家や論客に対して、我々は注意深くならなくてはならない。
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