実印の意味と、印鑑証明書の意味
また失敗をしてしまった。
土地の売買契約をすることになったのだが、所有者が香川県にいらっしゃって契約は私が代理人になって契約することになった。
代理契約をするにあたっては、所有者から私を代理人にするという委任状をいただいた。
委任状を添付して売買契約をしたのだが、飼い主さんがローンを利用する銀行から、委任状に印鑑証明書をつけて実印を押印した委任状を取り直してくれという養成があった。
その胸を売り主さんに伝え、再度委任状を送り、それに実印をついて印鑑証明書をつけて送り直してもらった。
ことは急ぐ話だったので、こちらから送る郵便も返送も速達便だった。
予定した通りに委任状が届いて、一安心して封を切ると、印鑑証明書と委任状が入っていた。
それが、なんと委任状に押してある印鑑は印鑑証明書の印影とは違うものだった。
実印というのは、市町村役場に登録した印鑑のことで、自分が自分であることを法的に証明する手段となるものなのだ。
登録してある印鑑の印影を証明するのが印鑑証明書だ。
市町村に登録してある印鑑の印影の証明書である印鑑証明書を添えて、その印影と同じ印鑑を捺印することよって、法的にも自分の意志を証明するわけだ。
だから,印鑑証明書の印影と違う印鑑を押した委任状では、印鑑証明書をつける意味がない。
それで私は、すぐに売主に電話をした。
「○○さん、印鑑が実印ではなかったですよ。」
「えっ?あれが実印ですよ。」
「いえ、押してもらっている印鑑は印鑑証明書のものと違いますよ。」
「えっ?実印というのは印鑑証明書の印鑑のことなんですか?」
「そうなんですよ。実印であることを証明するのが印鑑証明書なんですよ。」
「へー、知らなかった。」
ということで、再度委任状を速達で送り、それを速達で返送してもらうことにした。
3日間の時間と、切手代780円を無駄にしたが、無事委任状は届いた。
実印、認め印という言葉の意味なんて、説明しなくても誰でもわかっていることだというのは、専門家の勘違い。
土地を売ったり買ったりすることや、銀行からお金を借りることも無い人にとっては、印鑑証明書は無縁のものなのだ。
約30年の不動産取引業で、ローンを組むことになったときに印鑑登録をしていないお客さんが4、5人いらっしゃった。
それは、これまで電化製品や車を買うのにローンを使ったことが無いということなのだ。
サラリーマンの頃からの借金漬け体質の私にとって、印鑑証明書と無縁の平穏な生活を送って来られたお客様は、うらやましい限りである。
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