不法な家賃値上げ
何度も言ったことであるが、身勝手お客さんは少なくない。
と言っても、私は自分が合わないなと思った人とは商談をしないようにしているので、身勝手な人をお客さんにすることはほとんど無い。
今日、来店した方はお客様と呼ばなくてはいけない方だった。
今年の3月に店舗の賃貸借契約をした家主さんだ。
家主の近所にいる、私の知人からの紹介で、長い間空いたままの店舗の、入居募集をしてくれという依頼を受けたものだった。
その物件の存在は私も知っていて、ここ数年、いろんな不動産屋が貸し店舗として募集したり、売り物件として情報がまわってきたこともある。
場所が繁華街からはずれているし、交差点内の3角形の地形で客止まりが悪い。
しかも、建物は築後38年で老朽化している。
折角の紹介だが、依頼を受けても決める自信がないと、率直に紹介者に答えたところ、「こんなご時世でなかなか決まらないだろうけど、とりあえず募集ポスターを貼ってほしい。家主が年寄りの女性で、何度も頼みに来るので、とにかくポスターを貼ってもらいたい」と言われた。
それで、募集ポスターを貼ることにして、家主さんを訪問した。
物件を見て、想像より、その条件の悪さにおどろいた。
2階建の建物で、2階が家主の住まい。1階の店舗部分を貸したいという話だが1階の店舗部分のトイレが家主と共用。さらに家主の風呂まで店舗とつながっていて、店舗が完全には独立していない。
このままの状態で借りる人を見つけるのは難しい。
いろんな不動産屋が入居者募集のポスターを貼ったり、はずしたりしていたのにも納得がいった。
家賃を安くして貸すにしても、店舗と家主の居住スペースを分離しないと借り手はいないだろう。
それで私は、まずその点の改修を提案した。
家主がトイレや風呂を使うときには店舗を通らないように、壁を作って通路を設けないといけない。
ごく簡単な工事にしても10万円程度はかかるだろう。
家主は、そのくらいの工事はしてもいいと快く了承してくれた。
家賃について、どのように考えているか聞いてみたところ、都会では考えられないだろうが、月額3万円くらいでいいとおっしゃる。
当市に限ったことではないのだろうが、中心街も入り手のいない空き店舗がゴロゴロしていている。
私は、3万円という家賃は妥当。これなら借り手もいないことはないと思った。
5万円や6万円を希望したのでは、今まで通り空き店舗のまま、無駄に月日が流れていくだけだろう。
3万円であれば、家賃にひかれて検討する人もいるかもしれない。
そんなことを考えながら、募集ポスターを貼った。
するとどうしたことか1カ月もしないうちに、ポスターを見た方から電話で問い合わせが入った。
3万円という家賃を気に入ったようだが、一度中を見ておいてもらってから検討してくださいと伝えた。
すぐに中を見ることになって、2階に住んでいる家主がいっしょに立ち会っての案内になった。
おでん屋をやっていた店舗でカウンター等が残っていた。
借り手はそれを知っていて、その店舗を利用して焼鳥屋をしたいという。
いっしょにいた家主が私以上に熱心にセールスをしていた。
焼鳥屋さんなら絶対に良い場所だ(私はそんなに良い場所とは思わない)、私は独り身だから時間があるときは店も手伝うなどと、私では言えないようなセールストークを繰り出していた。
私は、家主に提案している改修予定を説明し、借り手は店舗改装見積りをしてみて検討するということになった。
そこでいったん分かれたのだが、家主からすぐに私に電話が入る。
借りてくれることを期待している電話だった。
「結構前向きみたいですよね」と答えると、「家賃を29,000円にしてもいい」という申し出だった。
「3万円でも借りると思うから、これ以上値下げはしなくていいですよ」と答え、借り手さんからの返事を待った。
想定通り、借りたいという返事がきて、無事賃貸借成約を締結。
私も非常に感謝してもらったが、紹介者もいたく感謝されたと言って喜んでくれた。
めでたしめでたしで終わったと思っていた1カ月後、借主から相談があるとの電話が入った。
なにごとかと思ったら、家主が焼き鳥の臭いと煙を出さないようにしてくれと苦情を言われる。
夜11時を過ぎてお客さんが入っていると、お客さんの声がやかましいから静かにしてくれとも言われるという。
焼鳥屋だから煙が出ないようにはできないし、お客さんにしゃべるなとも言えない。
どうしたものかという相談だった。
焼き鳥をやるということを了解して貸したのだからそれはおかしい。私から家主に話をしておきますということで家主にその旨を伝えた。
私が話をすると納得したようだが、その後また相談があって、家主さんからいろいろ注文が出て困っているとのこと。
あげくのはては、便器に傷をつけたといって裁判所を通じた調停の呼出しまで受けた。
調停員がどう思ったかはわからないが、こんなとき年寄りの女性は強い。
弱者ということになるからだろうが、今回の調停は傷をつけたのが誰かわからないので、修理代は折半ということで落ち着いた。
なんとか解決してよかったと思っていたら、今回の来訪になった。
今度はどんなことかと思って話を聞くことにした。
今まで自分がどんなに嫌な目にあっているかを、とうとうと話す。
焼鳥屋の煙で喘息になった。臭いし、うるさいし、眠れない。便器をこわされたのに半分負担させられたetc etc 不満はつきない。
それで、どうしたいのかというと、結局は、そんな不満を我慢するかわりに、家賃を上げてもらえないかという。
そして、私に、「3万円の家賃は安すぎると思わないか」と聞いてきた。
私は、聞かれたことに即答する悪い癖がある。(私は長所であると自負しているのだが)
それで、「安いとは思いませんね」と即座に答えてしまった。
すると、「そんなことを頭ごなしに言われたのでは、私はどうしようもない」と怒りだしすではないか。
私は、年甲斐もなく、逆切れしてしまった。
自分の意見に同意を求めようとして質問する人が多い。
そんなことはおかまいなしに、自分の思ったままを答える私は、ときとして人に嫌われる。
逆切れして口調が激しくなっていたことを反省し、「安いか高いか聞かれたら、私は安いと思うから、何度聞かれても安いと答える。だけど、家賃を上げてもらえないか賃借人に話をしてしくれというのなら、話を伝えることはする」と言って、話を納めることにした。
それにしても、まだ入居して半年余り、店舗改装にお金を使い(極力改装には金をかけてないようだが)、やっとお客さんがついてきたところで、家賃の値上げ。
あり得ない話だから、そんなことはできないと説き伏せたかったのだが、年寄りの女性だけに、いったん話を受けとめて、賃借人に話だけつたえることにした。
賃借人は承諾しないだろうから、そのときはその旨を伝えるて私の役目は終わりたい。
話を、短くまとめようと思ったのだが、短くまとめる方が難しい。
愚痴が溢れてしまった、今日は10月30日。
げに、年寄りの女性(女性とは言い難く、「ば○あ」と言いたいのだが、活字にすると女性と表現するしかないのが口惜しい)の扱いには難儀する。
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