悪徳不動産屋日記③
私は悪徳不動産屋。
そう居直って書きはじめると、ネタはつきない。
一昨日のできごと。
知人(Aさんとしておこう)に、土地の売却依頼を受けていた。
その土地は現在は田んぼで、道が狭く、上下水道も引き込まなければならない、宅地としては条件の悪い土地だ。
Aさんの土地は宅地としては利用できないほど間口が狭いため、隣接しているAさんの知人の田んぼといっしょにして売ってくれとの依頼だった。
その土地はAさんが小作として、自分の田んぼと一体化して、米を作っている。
条件が悪いので、価格は思い切り下げていいからということで、Aさんが設定した価格で売りに出していた。
なかなか売れないと思っていたのだが、昨年末からの私のツキは今年も続いているようで、この土地に問い合わせが入った。
格安の価格にひかれてかかった商談だった。
これまでだったら、価格にひかれて問い合わせをしてきたお客さんを案内すると、案内した時点で商談終了というのが常だった。
このお客さんは自分だけで見に行くので、案内地図と資料を下さいとの申し出だった。
それから数日後、どうせ駄目だろうと思いつつ連絡をとってみると、なんと、前向きに検討しているというではないか。
道路接続の悪い田んぼで、売却困難と想像していたのに、売れるときはこんなものだ。
さっそくAさんに連絡をして、「商談が進みそうだけど、隣接の土地の所有者に再度確認をしなくていいか」と聞いた。
私は、Aさんの隣接の所有者とは直接話をしていなかった。
本来なら、隣接の方にも確認を取っておかなくてはいけなかったのだが、私の確認の電話に対して、Aさんが小作をしている土地で、Aさんといっしょに売りたいということで、話に間違いはないと言う。
Aさんは私の旧友ということもあり、真面目な人なので、みじんも疑っていなかった。
ところがである、次の日別の用事でAさん宅を訪問して、Aさんの奥さんと話をしていたら、「きのう主人( Aさん)が隣接の人のところに確認にいったら、そんなに安くなるなら、Aさんの土地を隣接者が買っておこうか」という話になったと言うではないか。
そうなると、売る話はなくなってしまうか、売るとしても値段を上げるたことになるわけだろう。
商談が進んで、買うということになって、売らないということでは困るから、私はわざわざ昨日確認を入れたわけだ。
そのことも、きちんと説明して確認をとった。
不動産業者として一番困るのは、買うとなって売らなくなる話や、価格をつり上げる話だ。
不動産取引においては、売主と買主が直接顔を合せないで折衝している。
話を煮詰めて、煮詰めて、条件を整えて契約日を決めたあとにドタキャンがあると、不動産屋がいいかげんな話をしていたと思われることが多い。
今回は、まだ買手が「買う」という結論をだしていなかったから、最悪の事態にはならなかった。
私は、Aさんの奥さんに「奥さん、悪徳不動産屋とか、不動産屋はいいかげんだとか言う人が多いけど、そのほとんどはお客が引き起こした問題なんですよ」
「今回の話が、そうでしょう?」
「私は、商談を進める前にご主人に再確認をした。そして、話をすすめてくれという依頼だったので、買手にそれを伝えた」
「その結果、買手が『契約します』と言ってきたときに、実は売れなくなりました」と言ったら、買手は『なんていい加減な不動産屋だ』と激怒します。」
「せめて、そうなったことを連絡してもらいたかったですね」と、少々(少々ではなく露骨だったかもしれないが)憤慨して、Aさん宅を後にした。
かくして、私は、買手にとって、いいかげんな情報を持ち込む、悪い不動産屋になったのだ。
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