購入価格よりも値段を下げて住宅を売却した場合、確定申告で税金が戻るかも?
今年もまた、確定申告の季節になった。
この時期になると、去年不動産を売却したお客様から申告についての相談の電話が入る。
今日、去年住宅を売却したお客様から電話が入った。
売却したのは、お客様自身が住まわれていた住宅。
当地(宮崎県の北端の街、延岡市)では、居住用資産の売却にあたっての3,000万円控除を適用すると、ほとんどの場合、売却による譲渡所得税はかからない。
このところの不動産価格の下落で、この居住用の3,000万円控除を適用するまでもなく、そもそも譲渡益がでないケースが多い。
一般の方の中で、不動産売却にかかる税金について勘違いしている方が少なくない。
1億円で買った不動産を1億円で売っても税金はゼロ。
あくまでも、税金は利益にたいして課税されるのだ。
この10年前後に不動産を購入した方は、ほとんどの場合かった値段からすると損をして売却することが多い。
今日相談のあったお客様も、売却価格は、10年くらい前に買ったときの価格より1000万円くらい安くなった。
だから、居住用資産売却の3,000万円控除を適用するまでもなく、税金はかからない。
ここで、注意しなければならないのは、買った時より高く売却して譲渡益がでた場合、3,000万円の控除があるから税金はかからないといって、申告をしないと3,000万円控除の適用は受けられない。
確定申告をして、3000万円の控除を適用することによって税金を払わずにすむことになる。
自宅を売却して、譲渡益の出る方は、くれぐれもご注意を。
では、譲渡により損失が出る場合はどうなるかというと、端的に言うと、申告はしなくてもいい。
申告は、文字どおり、自ら自分の所得を「申し告げる」ること。
所得が発生していない人は、申告の必要はない。
ただし、不動産を売却した際の所有権移転登記については、同時に、税務署に通知されるているので、税務署から不動産取引についてのお尋ねがくることがある。
しかし、購入したときの売買契約書や領収書、そして売却したときの売買契約書等がしっかりしていて、利益が出ていないことが明確であれば、税務署から調査があったとしても、まったく心配することはない。
さて、今日の本論。
今日相談があったお客様は、10数年自分が住んでいた家を売って、同時に新しい家を購入された。
この場合、居住用資産の買い替えによる譲渡損失が生じたときは、その譲渡紛失を、その年の給与所得や事業所得など、他の所得から控除することができる場合がある。
できる場合があるというのは、「一定の要件を満たす」ものに限りということだが、要件を満たす場合は、損益通算をしてもその歳に控除しきれなかった譲渡損失は、譲渡の年の翌年以後3年以内に繰り越して控除することができる。
特例の要件は
①譲渡した不動産が、自分が住んでいる住宅(マイホーム)であること。
(住まなくなった日から3年目の12月31日までの譲渡も可)
②譲渡の年の1月1日において、所有期間が5年を超えるものであること。
③譲渡の年の1月1日から、売却の年の翌年12月31日までの間に、床面積が50平方メートル以上の家屋を購入すること。(買い替え資産の購入)
④買い替え資産を取得した年の翌年12月31暇での間に、居住のように供すること又は供する見込みであること。
⑤買い替え資産を取得した年の12月31日において、買い替え資産について償還期間10年以上の住宅ローンを有すること。
以上が主要な要件である。
これ以外の要件で、売買の相手方が、親子や夫婦、生計を同一にする新続等でないこと。
また、過去3年、居住用財産にかかる特例を受けてないことにも注意を要する。
今日相談のあったお客様は、居住用資産の3,000万円控除で税金はかからないという認識をされておられたようだが、もともと譲渡益が発生しない売却のため、税金を払わないということだけを目的とするのであれば、申告の必要はないというのが答えだった。
しかし、住んでいた家を売却して、同時に新しい家を買って、そこに居住しておられるので、居住用資産の買い替えによる譲渡損失を損益通算できる条件に該当するのではないかと思われる。
新しく購入した家についてのローンについては当社に相談はなかったから、住宅ローンの内容についてはわからないが、住宅ローン次第では、税金を払わなくていいだけではなくて、支払った税金が戻る可能性もある。
今日の、不動産情報館ブログの要点。
居住用の家を売って3,000万円の控除を受ける場合には、確定申告しなければならない。
売却による損失があった場合、申告しなくてもいいが、申告することによって税金が戻る場合がある。
今日の蛇足。
税務署は、税金がかかる場合は税務署の方から言ってくるが、税金が戻る場合は税務署は教えてくれない。
税金を戻してもらうためには、税金のことを勉強して、税金を戻してもらう手続きをしなければならない。
追加の蛇足。
だからといって、税務署は税金を取り立てるだけの機関ではない。
税務署は、新聞や雑誌、インターネットで、払いすぎた税金を取り戻す方法を公示している。
税金は正しく学んで、正しく払う、ということだろう。
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