悪徳不動産屋日記⑤ 「3度目もウソ」その2
昨日の話の、近所の『この方』から、その数カ月後電話があった。
「○○です」と名乗る声に、私は「おっ!さっそく不動産の相談がきた。先日のお礼に、どんな話を持ってきてくれたのだろう」と、はやる気持ちを抑えつつ、「あ、どうも。どうかされましたか?」とさりげなく応対する。
すると、「ちょっと教えてもらいたいんですけど、当社の近辺の店舗の賃貸料の相場はいくらくらいか」と聞いてきた。
貸すのか?借りるのか?どちらにしても、『この方』は、次に不動産のことがあったら、絶対に私にお願いすると言っていた。
それで、「家賃を知りたいのは、貸すために知りたいんですか、それとも借りるために知りたいんですか」とたずねると、「いや、どんなもんか知りたいだけ」だと言う。
がっかりであった。理由も無く家賃を知りたいということはありえない。
私は、「理由も無く家賃のことを聞きたいということはないでしょう?なにか家賃の相場を知りたいという理由があるのでしょう?」と重ねて聞いた。
すると『この方』は、「いや、ちょっと人に聞かれたもので」と言う。
明らかにウソ。だれかと、なにか不動産の取引があっていて、私から参考になる意見を聞きだそうという魂胆だ。
不愉快きわまりない話だが、聞かれたことに答えないというのも、私の主義に反する。
利用されていると承知の上で、自分なりの見解を教えてやった。
それから数日後、当社の近辺に住居付の店舗を探しているお客さんが来店された。
当社から200メートルくらい先に、売買でもいいし、賃貸でもいいという住居付の店舗があったので、管理している不動産会社に電話をしてみた。
すると、ちょと前に募集看板を見たお客様との商談が、ほぼまとまったところだという。
当地(宮崎県の北端の街、延岡市)も、旧市街地商店街は空き店舗だらけで、新規開業したいという商談は少ない。
しかし、決まるときはこんなものだなあと思いつつ、電話を切ろうとした私に、相手の不動産屋さんが言った言葉に、私はあいた口がふさがらなかった。
その相手というのが、数日前に家賃の相場を教えてくれと聞いてきた、ご近所の「あの方』だったのだ。
その物件は土地が借地で、建物だけを売却するというもので、売却価格が格安だったので、貸し店舗にする目的で購入して採算がとれるかどうかを知りたくて家賃の相場を聞いてきたようだった。
「悪事千里を走る」。私は、ご近所の『この方』の企みを、はからずも数日後に知らされることになった。
利用されていることを知りつつ、知っている専門知識をあますところなく教え、腹立たしくてチリ箱を蹴飛ばして、「お客様は悪魔さま」だと、ご近所の『あの方』を秘かにののしってしまう、私は悪徳不動産屋なのだ。
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