競売で落札した物件の車庫に遺体。損害賠償は棄却。
東京の不動産会社が競売で落札した物件の車庫にあった車の中に遺体があった。
不動産会社は昨年1月、東京地裁における競売に参加し、土地と建物を約1470万円で落札し、同年3月に取得した。
取得後、従業員が建物に入り、車庫にあった車の後部座席に男性の遺体を見つけた。
運転席に「硫化水素発生中」と書かれた紙がおいてあり、自殺したものと思われた。
そこで、不動産会社は「遺体があると知っていれば、もっと安い値で落札できたはず」と、国に損害賠償を求めて提訴したという。
判決は、競売の対称物件ではない車の中まで確認する義務はない」と、訴えを退けた。
そもそも、競売においては売主の瑕疵担保責任は問えない。
民法570条に、売主の瑕疵担保責任について、「但し、強制競売の場合は、此の限りにあらず」と規定されている。
競売物件はそれを見越して価格が設定されているので、安く手に入れることができるが、建物に欠陥があっても仕方がないということである。
今回の不動産会社は、執行官等の調査ミスを理由に国に損害賠償を求めた。
自殺のあった物件については、そのことを告知せずに売買すると、後々損害賠償を問われることになる。
自殺は心理的嫌悪を感じる瑕疵として告知義務がある。
不動産会社が売主となる場合、その責任はさらに重大になる。
物件を落札した不動産会社は、自殺を知って、なんとか損失を少なくしようと提訴したのだろう。
それについて裁判所は、車は競売の対称物件ではないので、車の中まで確認する義務はないとの判決を下したというわけだ。
落札した不動産会社には、ご同情申し上げたい。
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先日宮部みゆきの小説「理由」を読んで気になっていたのですが、
競売は法律の専門家はケイバイと言い、一般的にはキョウバイと言うのだそうですね。
私の友人の奥さんは長年弁護士事務所に勤めていて、よくケイバイといっていたのでどう違うのかと言う事がやっと解かりました。
投稿: 藤按 | 2013年4月29日 (月) 08時30分
コメントありがとうございます。
気がつきませんで、遅くなりました。
私も不動産会社の入ったばっかりのとき、
社長がケイバイと言っているのを聞いて、
社長が良い間違えていると思ってました。
一般的にはキョウバイですよね。
投稿: johokan | 2013年4月30日 (火) 16時35分