悪徳不動産屋日記 雨樋が越境していた
先日から中古住宅の商談をしていた。
お客様は、初回の案内で気に入った様子だった。
次の日、購入しようと思っているが、もう一度、工務店を経営している親戚の方に物件を見てもらって結論を出したいとのことだった。
価格からして優良な物件だと思っていたので、親戚の方に見てもらった方が私も安心。
これで決まりだなと思いつつ、再度の案内。
建物に関しては、ご親戚の工務店の方に説明してもらった方が良いと思ったので、私は鍵を開けただけで自由に見てもらった。
築年数は30年近いので建物価格はゼロ評価としての価格設定になっているのだが、鉄骨造のしっかりした建物で、外壁材も旭化成のヘーベルという壁材(発砲コンクリートという空気を含んだコンクリートで、外壁材としては高級部材と言える)を使用している。
内装の古くなったところをリフォームすれば立派な家に再生できると思える物件だった。
2時間近く物件の内外装をじっくり見てまわり(調べ倒しておられた)、結論は購入可。
最後に境界線のを確認することになった。
境界はブロックで明確だったのだが、ご親戚の工務店さんから雨樋が隣地に越境しているようにあるとの指摘があった。
ぎりぎり敷地に納まっているようにも見えたが、雨樋が5㎝から10㎝くらい隣地にはみ出している。
もともとこの家の所有者と隣地所有者は姉妹関係で、姉の土地を妹さんがわけてもらって家を建てていた。
それで余り気にせずに家を建てた結果そうなったのだろう。
その後この家の所有者は、この家を売って引っ越されている。
今回の売主は全所有者の知人で、不動産業者の仲介を受けずに個人間で売買したので雨樋のことは気にしていなかったようだ。
私は、その双方と知り合いだったので、今回の購入予定のお客様と親戚の工務店さんとにその旨の事情説明をした。
工務店さん曰く、今までは知り合い同士で何にもなかったかもしれないが、将来はどうなるかわからない。
だから、購入前に問題を解決してくれ。
解決がつかなければ購入は見合わせた方がいいとおっしゃる。
私は悪徳不動産屋ではあるが、実にその通りだと納得するほかなかった。
雨樋の越境の問題、法律的にはどうなることだろう。
越境部分の撤去の請求をすることは、当然できる。
しかし、越境しないからといって勝手に雨樋を撤去することは、もちろんできない。
相手が撤去要請に応じないのであれば、裁判を起こして判決をとり、強制執行の手続きをとらなければならない。
ただし、そこまでやると隣同士でいがみあいつづけることになるだろう。
悪徳不動産屋の私の考え方は、都会のように地価が高くて、建物が密集しているところであればいたしかたはないが、当地(宮崎県の北端の街、延岡市)のような地価の安い庭もたっぷりある戸建て住宅環境の地であれば、樋の5㎝や10㎝の越境にめくじらたてることはないと考えるのである。
しかし、当地でもそうはいかない人が少なくない。
5㎝10㎝のことで、金額にしたら10万円20万円のことで、隣同士が口も聞かないという関係を見聞きする。
だから、親戚の工務店の方のご意見は、しごくもっともなこと。
とはいえ、この物件の場合、雨樋をひっこめるには屋根を切らなければならなくなる。
それは家の形状状も問題があるし、費用がかかり過ぎる。
そこで問題解決策として、隣地の方に境界を越境していることを認めてもらい、それを文書で差し入れることにした。
隣地の所有者の方も、今までは越境を見逃してきたが、所有者が変わって先々、雨樋が土地の境界だと主張される不安を感じていたようで、この際それを明確に文書化しておいた方がいいと、すんなり納得していただいた。
その文書に今日、署名捺印してもらった。
これにて一件落着。
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