悪徳不動産屋日記 駐車場の契約解除
このところ、月極め駐車場にしている土地の売買契約が3件続いた。
当地(宮崎県の北端の街、延岡市)は、車が無しには生活が成り立たない。
当地に限らず、地方都市は公共交通網が整っていないから、車は移動手段として必需品なのだ。
車は、一家に一台ではなく一人に一台。
だから、街中でも郊外でも、空き地を駐車場にすると、どこも満杯になる。
そんな駐車場を売却することになると、借りている人は車の置き場に困ることになる。
それで、駐車場にしている土地の所有者は、売却にあたって問題なく契約解除ができるかどうか心配することになる。
法律的に借地権があって違約金が発生するのではないかというような心配をする地主さんもいる。
借り主の中にも、借地権と混同して、立退き料を請求できないかという相談をしてくる人もいる。
結論からいうと、駐車場契約の解約は大きな問題にはならない。
しかし、借地権と間違えて一悶着する場合も少なくない。
借地権というのは、借地借家法第2条に定義されており、建物を所有することを目的とした地上権、または土地の賃貸借をいう。
駐車場契約は建物を所有することを目的としておらず、従って借地権は発生しない。
これをまたまた勘違いして、賃借権もないと言う中途半端な法律知識をふりかざす輩もいるが、人にモノを貸して対価を得ているのだから、賃借権は発生する。(民法601条)
賃貸借の解約については、賃貸借契約解約条項定めておればそれが有効になる。
期間を定めていない契約については、民法617条により、いつでも解約の申入れができる。
民法617条では、土地については1年、建物については3カ月、貸席及び動産については1日、というの期間を経過したときに契約が終了とある。
駐車場については、貸席扱いでただちに契約解除できると解釈されている。
ただ、通常は最低1カ月前の猶予期間を定めて契約解除することになるだろう。
幸い、私が売買契約に携わった駐車場については、大きな問題もなく駐車場の解約をして引渡しができた。
もし勘違いして立退き料を請求するような賃借人がいたとしたら、携帯しているミニ六法が生きるのだが、今回は出番がなかった。
インターネットの法律相談サイトを見ると、立退き料を請求できないかというような質問に対して、争えば勝ち目は無いがダメモトで、新たな駐車場を探す労力や新たな契約にかかる費用を請求してみてはどうかと答えている人がいる。
悪徳不動産屋としては、こんな相談を受けたら、「そんな権利はないんだから、きっぱりあきらめて早く代わりの駐車場を探しなさい」とにべもなく答えるだろう。
ただし、「代わりの駐車場がすぐに見つからないときは、多少の時間の余裕はいただけないかと相談すれば、地主さんも少しは待ってくれると思いますよ」くらいの助言はする。
相談サイトで答える人には、法律に疎い人に対して「ダメモトで請求すれば、ひょっとしたら立退き料をもらえるかもしれない」なんて、おかしな助言はしないことだと、悪徳不動産屋は怒りをもって進言したい。
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