音の無い盆踊り
朝のワイドショーで奇妙な光景を見た。
広場で、浴衣を着た一段がそろって踊りを踊っている。
どうやら盆踊りのようである。
しかし、そこには太鼓の音も音楽もない。
無音の中で、みんなが同じ振り付けで踊っている。
そのわけを聞いて、またまた驚いた。
盆踊りの音がうるさいとの苦情を気にしてのことらしい。
踊り手は、決められた周波数にあわせたポータブルラジオを身につけ、そこから流れる盆踊りの歌に併せて踊りを踊っているのだという。
そこまで気を使うのは、苦情を言ってくる人の主張が強烈なのだろう。
おそらくは、地の人ではなくよそから移住してきた人。
そんなよそ者の意見で、昔から続けてきている行事の方が片隅に追いやられるのはおかしい。
昔にくらべて、身の回りの騒音は増えてきている。
それなのに盆踊りの音には我慢できないというのは、よそ者の身勝手。
人の都合は一切関係なく、自分の権利を声高に主張する。
大きな声にびっくりして、人のいい気の小さい人は泣く泣くそれに従う。
最近の世の中は、そんなことがまかり通っている。
夏の風物詩である花火でも、音の小さな花火が開発されているという。
音の無い花火なんて、面白くもない。
一部のわがままを押し通す輩の意見を、そこまで尊重しなくてはいけないのだろうか。
そういえば、風鈴の音で殺人事件も起こっている。
すべては、コミュニケーションが希薄になったことに起因するのだろう。
インターネットの普及で、この傾向はますます増していくことになる。
この先どうなることやら。
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