悪徳不動産屋日記 2015年から相続税が変わる
仕事がら、知人から相続税について相談を受けることが少なくない。
そんなとき私は、まずこう聞くことにしている。
「財産は1億円以上あるの?」と。
ほとんど、「そんなにあるわけないじゃない」という答えが返ってくる。
ここで悪徳不動産屋の本領発揮。
私は冷やかにこう言う。
「でしょう。1億円なんて財産はないでしょう?だったら相続税の心配なんかしなくていいよ」と。
失礼ではあるが、私は質問者の方々の財政状況を知っている。
当地(宮崎県の北端の街、延岡市)のように地価が安いと、相当なお金持ちでないかぎり相続財産が1億円を超すことは無いのだ。
というのも、一般的には不動産が相続財産の大部分をしめる。
おまけに、相続税のなる対象となる土地価格の基準となる「路線価」は、時価やり安くなっていることが多い。
(※路線価とは、相続や贈与によって取得した財産(土地)を評価するために、国税庁が定めた価格)
だから、当地のような地価の安い田舎町では、主要な相続財産である不動産の評価額が3千万円を超すような人は非常に少ない。
これが、東京のような地価の高いところだと、相続する不動産が思いもかけない高額な評価額となって、相続税を払うために自宅を売却しなくてはならない事もある。
2015年1月から、相続財産の課税上の基礎控除が縮小するため、課税対象となる人が増加することになる。
国税庁の試算によると、11年の相続税の課税件数は死亡者数の約4.1%だった。
しかし、1015年以降は6~7%に高まるとみている。
現在相続税の基礎控除額は5千万円+1千万円×法定相続人の数
妻と子ども2人が相続人の場合 5千万円+1千万円×3=8千万円が相続財産から控除される。
しかも、相続財産の内土地についての算定価格として利用されている路線価格は、時価の7掛け程度。
従って、大雑把に1億円以上の財産があったときのみ相続税の心配をすれば良いということになるのだ。
しかし、2015年からはこの控除額が縮小されることになっている。
基礎控除額は、3千万円+600万円×相続人の数に引き下げられる。
つまり基礎控除額は、3千万円+600万円×3人=4800万円となる。
こうなると、、普通の?人でも、相続税の心配をしなくてならなくなる。
とくに東京のように地価の高いところでは、自宅を売却しなくてはならなくなる人が多くなることが予想される。
そこで、がぜん検討しなくてはいけないのが、居住用の「小規模宅地当の特例」だ。
これは、配偶者や同居していた子どもたちが、相続で自宅を売らなくても済むように、自宅土地の評価額を8割減にできるという特例。
次の要件を満たしていることが必要だ。 相続開始直前に、亡くなった人が住んでいた家が建っていること。
特例を利用できるのは、配偶者もしくは子どもなどの同居親族で、相続税の申告期限まで家への居住や土地の保有を継続している場合。
同居していない親族で、相続開始前3年以内に、自分や配偶者が所有するマイホームにすんだことがなく、期限まで土地を保有する場合
これまでは、亡くなった人が、亡くなったときに老人ホームなどに入っていると、そこが自宅とみなされ、特例が使えなかったが、今回の税制改正にあわせて、来年1月から「介護を目的」といった条件を満たせば、特例が認められるようになる。
また、これまで構造によっては特例が認められなかった2世帯住宅も、来年以降は適用条件が緩和されることになっている。
また、土地の対象面積の上限も240㎡から330㎡に広げられる。
相続税の申告・納付の期限は、相続の発生後10カ月以内であることに注意。
特例を使うためには、この期限までに遺産分割の協議がまとまっている必要がある。
敷地が広い住宅を相続する方は、早めのチェックをおすすめする。
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