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2013年10月22日 (火)

悪徳不動産屋日記 無料の調査依頼

 事務所のドアを勢い良く開けてお客様が入ってきた。

 入ってくるなり、「ちょっとお伺いしたいのですが・・」と言う。

 私の事務所は歩行者が多い通りにあるもので、道を聞きに立ち寄る人が多い。

 この方も道を聞きに来たのだろうと思って応対にでると、不動産のことで教えてもらいたいことがあるとのこと。

 椅子を勧め、話を聞くことにした。

 こちらから質問するまでもなく、来店者はかってにしゃべり続ける。

 「北海道の不動産なんだけど・・」

 北海道?私の仕事にはならないようだなあ、なんて思いつつ話を聞くことにした。

 「北海道に不動産があって、その相続のことで書類が来たのだけど、その不動産が売れたかどうか調べてもらえないか」と言うのだ。

 言ってることが、私には意味不明。

 どういうことか筋道をたてて質問しようとするのだが、来店者は自分の聞きたいことの答えを早く聞きたいようで、早口でまとまりのない話をまくしたてる。

 北海道在住の方に相続が発生して、来店者かその親戚に相続の関係人だったのだろう。

 おそらく、親戚づきあいもないのに、相続のための書類に印鑑を求められたと想像できる。

 印鑑が必要だということは、来店者(またはその親戚の方)も、法律的には相続人の一人である。

 えんもゆかりもない関係なので、相続の書類には印鑑を押したのだろうが、存続の分け前をもらったのか、もしくは印鑑代としてなにがしかの対価をもらったかはわからない。

 質問の内容を詳しく聞こうと思うのだが、私の質問には答えず、「その家が売れたかどうかを調べられないか」と言う。

 どういったことが聞こうとするが、とにかく家が売れたかどうかを知りたいだけだとかし答えない。

 家の所在地はわかっているとのことだから、売れているかどうかは簡単に調べることはできる。

 今は、全国の不動産登記情報が閲覧できるから、調べようと思ったら2~3分で登記内容は閲覧できる。

 しかし、この来店者は、ちょっと道でも聞くという感覚で聞いてきているだけだろう。

 インターネット閲覧をすると、400円弱ではあるが費用がかかる。

 私の性分としては、もっと礼儀正しく相談をされて、調査の理由が納得できるものであれば、実費のみで調べてあげるところだ。

 来店者は、「不動産屋は不動産屋のルートで、売れたか売れないかわかるんじゃないとけ?」ときた。

 飛び込みの来店者で、よくあるパターンだが、知りたいことをちょっと教えてくれということである。

 悪気はないのかもしれないから、相手の話をゆっくり聞いて内容を整理してあげるといいのだろうけど、私は自分の常識にはずれる相手は許せない。

 だから、相手にせず、何も答えず、お帰りいただけばいいのだけど、つい教えてしまうことになる。

 「法務局に行けば全国の不動産登記簿謄本がとれるから、それを取れば売れたか売れないかわかりますよ。法務局に行ったらどうですか」と伝えた。

 すると、「法務局で聞けば教えてくれるとけ?」ときた。

 「法務局では売れたかどうかは調べてくれないけど、登記簿謄本をとれば、売れていれば名義が変わっているから、それでわかるよ」とつきはなしてみた。

 来店者は、それでもあきらめきれないのか、「あんたたち不動産屋では調べてくれんとけ?」と言う。

 私は、「法務局に行けば700円で調べられるけど、私に仕事で調べてくれというのなら調査料を別にもらいますよ」と答えた。

 以前、売買にからみそうな話で所有者を調べてくれという依頼があって、インターネットで調べてあげたことがあったが、結局売買の依頼にもならず、当社が支払う閲覧の実費も払ってもらえなかったことが何度かある。

 インターネットで登記簿を閲覧するのに当社は登録していて、閲覧した分は当社の口座から引き落としされているのだ。

 インターネットは無料で調べられると勘違いしていて、実費分もいただけないということが少なからずあるのだ。

 オレは悪徳不動産屋なのだぞ。

 金輪際、閲覧代を踏み倒されてなるものか。

 調査費を払わないのに調査なんかするものか。

 案の定この来店者は、「私に依頼するなら調査費をもらいますよ」といった瞬間、立ち上がって当社を後にした。

 「法務局に行けば、わかるっちゃね」と言い捨てて。

 もちろん、「ありがとう」も「すみません」という言葉もなかった。 

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コメント

相変わらずこのシリーズは面白いですね。
今後にも大いに期待しております。
情報館さんは私のほうにコメントをいただいた時にアクセス解析の名前をつけさせていただいたので、時々お見えになっているのがわかります。
いいね!だけして中を見てない人もいっぱいいますよね。

いつもコメントありがとうございます。

日常的に、このシリーズに書きたいネタがあるんですが、
小さな町なので、相手が特定されそうな話題は書けません。

藤按さんのブログが、「西条秀樹」でアクセスが急増したとありましたが、
ときどき、あるキーワードでアクセスが急増することがあって、
そのときにアクセスした方が一定数残ってくれるようです。

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