悪徳不動産屋日記 私は言っていない
あまり嬉しくないお客さんが来店した。
嬉しくないというのは、このお客さん、何かと手間がかかるお客さんだからだ。
すぐそばにある月極め駐車所を契約したのだが、最初から手間がかかった。
申し込を受けたのだが、すぐには車を置かないので、駐車料の支払いを1カ月後からにしてくれとの依頼だった。
当社のある地域は、当地(宮崎県の北端の街、延岡市)では繁華街にあって、駐車場が不足している。
ましてや、他の不動産会社が管理している駐車場だから、その不動産会社の了解がいる。
たまたま、空きスペースが駐車しにくかったので、それを理由にして了解をとってあげた。
当地の月極め駐車場の料金相場は月額3千円から5千円。
それを不動産2社で仲介すると、仲介料の取り分は3千円にも満たない。
だから私は、通常は他社の管理する駐車場については関与しないようにしている。
しかし、この駐車場については、当社の目の前ともいえるところにあるので、管理会社の社長から、当社が窓口になって斡旋してほしいとのたつての依頼で、斡旋の手伝いをしていた。
とはいうものの、仲介料は管理会社と当社の折半であることには変わりはない。
契約内容を説明し、契約書を取り交わし、管理会社に契約書とお金を届け、貸主の印鑑をもらった契約書を借主に取りにきてもらうという作業になる。
手間とガソリン代を考えると、ほとんどサービス業務ともいえる仕事である。
管理している不動産会社の社長からの直接の依頼で、断ることができなくてやっているようなものなのだ。
お客さんは、そんなことも知るよしも無く、日割り料金を安くあげようとして、1カ月後から借りるということで交渉してくれとの依頼をしてきた。
車が停め難くて借り手がいなかった場所なので、それはお客の要望をきいてもらった。
しかし、契約開始日が近づいても契約に来ない。
管理会社から、どうなっているのかとの問い合わせが入った。
すでに契約日が到来している。
早急に契約に来るように連絡をとると、何度か当社に来たが、そのとき私が不在だったということだった。
何度も来たのに、いつも私が不在だったということはないと思うのだが、それが理由ならと、お詫びを言う。
すそして、この客さんのがやっているお店まで契約書を持っていくことにした。
その店も、私の事務所から歩いて1、2分のところにある。
契約書に署名と印鑑をもらい、当月分の駐車料4千円と、仲介料4,200円を請求した。
すると、「えっ!仲介料がいるの?」ときた。
契約にあたって、駐車料の発生を1カ月猶予してもらう交渉をさせて、契約書を取り交わすために人を動かせて、何度も催促の電話をさせて、あげくに通常なら自分が来るべき契約に私を出向かせて、「仲介料がいるの?」と言うのだ。
それも、たかだか4,200円。
当社がいただくのは2,100円。
2,100円でもりっぱなお客さんだとは思うのだが、「仲介料がいるとは思っていなかった」というのには恐れ入った。
すぐにその理由がわかったのだが、そのときたまたま手持が8,200円なかったのだ。
とりあえず、当月分の駐車料だけあずかり、契約書に署名捺印をいただいた。
仲介料は後で当社にもってきてもらうことにして、管理会社に契約書と駐車料、そして仲介料の半金2,100円を届けた。
仲介料は、だまって私が立て替えた。
そして、このお客さんに、管理会社の印鑑をもらった契約書を取りに来るように連絡したが、来たのは1週間くらいしてのことであった。
この間、仲介料を当社が立て替えていたのだが、そんなことには当然気がつかず、「お金を払ったらお客様よ」とばかりに、駐車票の設置をしてくれとの要求をしてお帰りになった。
この駐車場は管理会社が、無料で借主名で駐車の表示看板を設置している。
さすがに、お金を払うまでは言えなかったようで、払うと同時に要求してきたというわけだ。
すぐに管理会社に、その旨の依頼をした。
その月の月末、このお客さんから電話が入った。
駐車料の振込手続きに銀行にきているが、駐車料は前払いになるのかという確認だった。
契約のときに重々説明していること。
家賃や駐車料は、全国的に前家賃が常識。
あきれながらも「そうですよ」と答える。
すると、「まだ駐車場の看板がついていない」との督促。
再度、管理会社に連絡をしておいた。
今日のご来店の理由は、その駐車看板がまだつかないという苦情だった。
「いつになるんですか?! ちゃんと伝えているんですか?!」と言う。
「表示看板がないから、知らない人が停めて困る」というのだ。
当社からすぐ近くにあるから、いつも見ているけど、他の車が停まっているのを見かけたことはない。
すぐに取り付けていないのは、こちらの手落ちなので、早速催促しておきますとお詫びしたのだが、「しょっちゅう他の車が停まっていて迷惑している」と不満をぶつけてくる。
それで、「今、目の前で管理会社に連絡しますね」と電話をかけた。
「あ、○○さん。今、駐車場のお客さんが来社されているけど、表示看板をつけてくれないとお怒りですよ」と言うと、あわてて「私、怒ってなんかいません!」と怒っている。
目の前で電話しているので、受話器をそのお客さんの方に向け、「お客さんは怒っていないと言ってます」と伝えた。
管理会社は、直接お客さんにお詫びと説明をしたいようで、「電話を変わってくい」と言って来たので、それを伝えるとこのお客さん、「電話は変わらなくていい」と固辞する。
それで、私は、「お客さんは電話に出たくないと言ってますよ」と伝える。
すると、このお客さん「出たくないなんて言ってませんよ!」と、またしても怒りの声。
私は、お客さんの態度が悪いと(私にとって)、意地悪をしたくなるという悪い正確を持っている。
なにせ、私は悪徳不動産屋なのだから。
それなら電話で直接話をしてくださいと電話をお客さんに差し出す。
すると、恐縮しながら管理会社と話をしていた。
ちょうど、他の来店客があったので、私はそのお客さんの応対をすることにした。
管理会社とどんな話をしているのか私に興味がなかったが、お客は電話を置いて帰って行ったから、話はついたようだ。
後で、同席していた当社の新入社員に、「あのお客さん、怒って入ってきたよね」と聞いてみた。
私が、かってに怒っていると勘違いしているのかもしれないと、少し反省したからだ。
はたして、新入社員の感想は、「すごく怒ってましたよね。私、怖かったです」との感想。
やっぱり、怒って苦情を言いにきたのだ。
それなのに、怒りをぶつけるべき当事者である管理会社には怒りをぶつけることはできない。
私は、なぜかお客さんになめられやすいようだ。
やさしい顔をしているけど、私を怒らせると怖いんだぞ。
と、うそぶく悪徳不動産屋の今日の出来事だった。
腹が立って、つい長くなってしまったなー。
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