悪徳不動産屋日記 離婚して、家の名義を変更したら?
昨日、2年前に中古住宅をお世話したお客様が、相談があるとのことで来社された。
購入した際、ご主人と奥さんの共有にされていたものを、奥さんの単独名義にするにはどうしたらいいかとのことだった。
ご主人との共有だったから、ご主人の持分を奥さんに贈与するということになる。
登記申請を自分でやるつもりでの相談のようだった。
私は、不動産登記の勉強をしたことがあって、登記申請書の書き方を教えてくれというのであれば、教えてやれないことはない。
しかし、ご主人からは話を聞いていないし、奥さんが単独で登記する手助けをするわけにはいかない。
それに申請にあたっては、登記申請書の作成だけではなく、登記原因証明情報の作成も必要だし、添付書類として印鑑証明書や住民票がいる。
それらの書類を揃えて法務局に申請するわけだが、その方法も教えてやらなければならない。
不動産という高額の権利をいじるわけで、責任は大きいが、うまくいっても、それに対する報酬はいただけない。
不動産登記に関する知識がまったくない人に、登記を1から教えるのは勘弁してもらいたい。
ましてや私は悪徳不動産屋。こんな割のあわない相談には乗れない。
それで、「インターネットで調べれば自分でもやれると思いますよ。でも、2~3回は法務局に行かなくてはいけないし、書類の不備があったら書類の訂正に何度も足を運ばなくてはいけないから、司法書士に頼んだ方がいいと思いますよ」と答えた。
するとお客さん。「司法書士に頼むと、十数万円かかるでしょう?だから自分でやってみたい」と言う。
これはお客さんの、よくある勘違い。
登記にかかる費用の多くは登録免許税。
司法書士の手数料は4万円程度。
その説明をして、司法書士に依頼したほうがいいのではないかと助言した。
お客さんは納得して、司法書士を紹介してくれと言うので、購入の時に依頼した司法書士を紹介しておいた。
これで、登記に関しては私の手を煩わせることはなくなった。
と思っていたら、今朝、そのお客さんから電話が入った。
「登記に関する書類を当社に持っていこうと思うのだが、何を持って行けばいいのか」と言うのだ。
司法書士との間のやりとりを私がやってくれるものと思っているようだ。
売買の際に、私がすべて動いたので、それと同じようにやってもらえると思っているのだろう。
直接司法書士事務所に行って手続きをするように話をした。
司法書士としても、ご主人の本人確認が必要だろうし、そんな説明を私がするのは面倒だ。
その説明をしながら、ふと税金の説明をしてやらなくてはいけないことに気がついた。
ご主人の名義を奥さんに移すのは、おそらく離婚が原因だろう。
どちらにしても、夫婦間だから売買ではなく贈与を原因とした所有権移転になる。
そうであれば、贈与税のことを考えておかなければならない。
それで、余り楽しい話ではないが、今回の贈与の内容を詳しく聞くことにした。
「奥さん。(購入したときは奥さんだった)つかぬことをお伺いしますが、名義を奥さんにするというのは離婚が原因なんですか?」
案の定、離婚することになったとのこと。
わたしは、さらに、「離婚の原因はご主人にあったんですか?」と突っ込んで聞いた。
「えっ?何でですか?」と、ちょっと答えたくないようだった。
離婚する際、慰謝料や財産分与という形でご主人名義の不動産を奥さん名義にする場合、贈与税がかかることを考えておかなくてはいけない。
それで原因を聞いたのだ。
よくある離婚の理由で、浮気やDV、あるいは浪費や不労等、相手方が離婚の原因を作った場合の慰謝料は損害賠償金になり、損害賠償金は非課税となって原則として税金はかからない。
しかし財産分与だと、贈与税がかかる場合がある。
原則としては財産分与でも税金はかからない。
それはもともと夫婦の共有の財産であったものを、離婚に際して分け与えるのであるから贈与税はかからないのことになる。
ただし、夫婦間のすべての事情を考慮して、財産分与が過大であると判断されると、多すぎる部分が贈与税の対象になる。
今回の場合、家を購入してまだ2年だし、共有名義にしていたご主人の持分を贈与するわけだから、一応贈与税の心配をしたほうがいいのではないかと、ちょっと心配になったわけだ。
それで、上記のような説明をしたのだけど、「こんな場合はどうか?こう考えればどうか?」とか、お客さんはいろんな場合を想定して、あれこれ聞いてくる。
いろいろな想定問題に、いちいち答えるのも面倒だし、想定に対して100%の回答は税理士でもできないこと。
それで、「慰謝料なら税金はかからないということを頭において自分で理由付けしたほうがいいと思いますよ」と言って話を打ち切った。
余計なことに口出しをして後悔する、悪徳不動産屋の悪い癖が、またしてもでてしまった。
税金の相談を受けたわけではないのだから、黙っていればいいものを。
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