悪徳不動産屋日記 もめても力になれません1
数日前から、当社の目の前の空き店舗で内装工事をやっている。
独立当初の6年間私が借りていた賃貸店舗で、私が現在の事務所に移ってから、2度入居があったが、退去してこのところ数年開いたままになっていた。
当社の目の前だし、当然当社も賃貸仲介の依頼を受けていた。
当社の他にもう1社依頼をしていて、そちらの会社で入居者を見つけたのだろう。
どちらにしても、預かっている鍵を返却しなければいけないと思って連絡をとった。
「入居者が決まったみたいですね。目の前にいて力になれなくてすみません」と、一応お詫びした。
私は悪徳不動産屋らしくなく、自分の非は、すぐに詫びてしまうのだ。
すると、私の言葉を遮るように、「直接貸してくれとたずねて来た人がいたから貸すことにしたのよ」とおっしゃる。
他の不動産会社の仲介でもなく、入居希望者が直接家主を訪ねていったらしい。
当社の目の前だし、当初は当社の入居者募集のポスターを貼っていたのだけど、1年以上入居者が決まらなくて、家主から「ポスターを剥がしてくれ」言われて、入居募集のポスターは貼っていなかった。
1社に限定して依頼すると、他の不動産会社が決める場合仲介手数料を、両社で折半することになる。
それだと他の不動産会社が入居者募集に力を入れてくれないので、専属の不動産会社をはずして、複数の不動産会社に頼みたいと思ってのことではないかと想像していた。
1年以上も入居者が決まらないのだから、家主さんの気持ちはわかる。
商店街には空き店舗がめだっていて、5年も6年も空いたままの店舗が目につく。
とはいうものの、自分の事務所の目の前の物件だから、1年以上も決まらなくて、気にならない日はなかった。
顔を合わせてのもつらく感じていたから、他業者にも依頼してもらってホッとする気持ちもあった。
しかも、他の不動産会社に依頼する際に、家賃を当社へ依頼した時の半額にダンピングしていた。
田舎町とはいえども、当地(宮崎県の北端の街・延岡市)でも安アパートなみの金額である。
報酬額が少ないから仕事に身をいれないわけではないが、店舗物件は入居後も、なにかと入居者と家主の調整が出てくる。
3~4万円の報酬では、やってられないと思うことが少なくないのだ。
私は、心から、入居者が決まったことに、祝福の言葉と力になれなかったお詫びを述べて、鍵を返却した。
しかし、ちょっと気がかりなことがある。
入居者は、「不動産屋抜きで貸してください」と、家主を直接訪ねて来たらしい。
「ずっと空いていたから気になっていて」、借りたいと思っていたらしいが、格安物件として、当社に電話で問い合わせのお客様にも紹介しているし、他の不動会社、何社にも紹介している。
そんな流れの中で情報を聞いていたお客(お客ではないな)、人、かもしれない。
私の経験では、「不動産屋抜きで」と持ちかける人との話は、あとあとこじれることが多い。
格安家賃だから滞納の心配はないのかもしれないが、滞納があっても協力はしてやれない。
もともと私は、こう見えて(どう見えているかはわからないが)気が弱い。
もめごとには大の苦手だ。
自分のことで、もめごとが起こったら、あっさり相手の言い分を聞いてしまうことが多い。
戦う前に逃げ出してしまう。
しかし、仕事となると別。
依頼者の利益を守るためには、嫌でも、もめごとから逃げるわけにはいかない。
全力で解決に当たる。
今回の家主は、先々問題が起こったとしたら、家主は、まず私に相談をしてくることだろう。
もちろん無料で。
しかし、私は、もめごとが苦手なのです。力にはなれません。
家主自らが自分で蒔いた種。
私は相談には乗らないだろう。
そうすると、家主は私のことを、なにもしてくれない悪徳不動産屋だと近所に触れ回るかもしれない。
だから私は、ここに前もって宣言しておく。
「もめても、私は、手助けできませんよ」と。
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