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2014年6月27日 (金)

悪徳不動産屋日記 排水つまりの修理代は誰が払うのか

 事務所を閉めようとしたとき電話が鳴った。

 「佐藤(仮名)です」と言う。

 いきなり「佐藤です」とだけ言われても、どこの佐藤さんかはわからない。

 「どちらの佐藤さんですか?」と聞くと、「○○アパートの佐藤」だと名乗られた。

 その口調には「声を覚えとけよ」というニュアンスがある。

 アパートをお世話したあとは、なにかあるときしかお会いすることはないから、入居者の声を覚えている方が少ない。

 そんな気持ちは抑えて、「なにかありましたか?」とたずねると、「水がぜんぜん出ないのよね」と言う。

 「台所ですか?お風呂ですか?それともトイレですか?」たずねると、台所だと言う。

 「台所の水だけが出ないんですか?」と聞くと、「流しの水が流れない」と言う。

 再度、状況を確認すると、流しがつまって水が流れないということだった。

  排水管の詰まりだ。

 古いアパートなのだが、この入居者の部屋だけがトラブルが多い。

 以前は、水管の詰まりくらいだったら、まずは私がやってみて直すこともあった。

 管理業務を超えたサービスでやっていたのだが、家主さんも当然とことと勘違いして感謝してはくれないし、入居者は、早く直せと言わんばかりになる。

 
 すぐに直らないと、悪徳不動産屋あつかいされてしまう。

 今日の佐藤さんも、「すぐに直してくれないと炊事ができない」と息巻いている。

 それで最近は、すぐに専門業者を手配するようにしている。

 排水管の詰まりの原因は、入居者に原因があることが多い。

 流しにしても、お風呂にしても、排水管を詰まらせないために排水口にゴミ受けがある。

 そこで髪の毛や、大きなゴミが、排水管に流れていかないようにしているわけだ。

 それを面倒がって、排水口のゴミ受けをとってしまって使う人が少なくない。

 お風呂の排水詰まりの原因で一番多いのが、髪の毛によるものだ。

 髪の毛がからまりあって排水管を詰まらせてしまうのだ。

 台所で多いのは、大きな野菜クズが排水管にひっかかって、それに次々にゴミがたまって詰まらせてしまう。

 箸やスプーンがひっかかっていたりすることがある。

 そんな原因の場合、修理代は入居者負担となる。

 私は、排水管の詰まりのクレームを受けた際には、前もってその旨を説明するようにしている。

 入居者は絶対に自分が原因だとは言わないが、ほとんどは入居者の管理に起因する。

 あるとき、スポンジたわしが詰まりの原因だったことがある。

 「お客さんがタワシを流したせいですから、修理代はお客さんの負担になりますね」と説明した。

 しかし、このお客さんは、「自分のタワシではない。タワシは前の入居者がつめたものだ。それにゴミがたまっていって、排水管が詰ったのだ」と主張して、自分の非は認めない。

 そんなはずはないのだが、証拠はない。

 そんなやりとりをしていたら、入居者の子供が出てきて「お母さん。このタワシは、お母さんがこの前無くなったと言っていたのだよ」と得意気に言った。

 それで、その場は一件落着。

 はたして、今回の詰まりの原因は?

 先程連絡があって、割り箸が原因のようだとのこと。

 流しの排水口のゴミ受けは、はずしたままになっていた。

 しかし、この人も、自分が詰まらせたとは、なかなか認めない。

 これを強引に認めさせて、またしても私が悪徳不動産屋と言われることになるのだろうなあ。

 

 

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