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2014年7月28日 (月)

悪徳不動産屋日記 家主を怒らせてしまった

 今朝、開店早々、来客があった。

 親しげに、にこにこして入って来られたのだが、一瞬誰だか思い出さない。

 顔には覚えがあるのだが、どういう知り合いかが思い出せない。

 「その後どうなった?」と聞かれ、即座には返答ができずに、困ったなと思ったが、すぐになんとか思い出した。

 先日、アパートの入居募集の依頼を受けた家主さんだった。

 何社かの不動産会社に依頼しているけど、なかなか決まらないので当社にも依頼したいということで来社された方だった。

 古いアパートなので、1月以上になるけど、まだ商談もかからない。

 わざわざ出向かれたということは、他社も同じ状況なのだろう。

 「最近は古いアパートは、なかなかきまらないですね」と答えると、「そうみたいだね」とおっしゃる。

 人のよさそうな笑顔で、「何か妙案はないだろうか?」聞いてきた。

 古いアパートは、思い切った方法をとらないとなかなか決まらない。

 思い切った方法というのは、大規模な改装をするか、思い切った値下げをするか、いずれにしても家主さんに痛みが伴う方法だ。

 本音でそれを語ると、家主さんからは反発を受ける。

 だから、複数の不動参会者に依頼してるような、余り信頼関係のないお客さんには本音のところは言いたくない。

 感謝されることは無く、嫌われるだけ。

 しかし、このお客さんの笑顔にだまされて、つい本音の助言を始めた。

 もう歳だから、リフォームの借金はしたくないと言っておられた。

 家賃的には、それほど無理な家賃設定ではないので、「敷金・礼金無しにして募集してみるというのはどうですか?」と提案してみた。

 すると、「敷金無しだと、退去したあとの補修費用がないじゃないか」とおっしゃる。

 空き室のままだと、家賃は1円も入らない。

 もし、敷金無しにしたことにより、ずっと空き室だった部屋がふさがって3カ月絶てば敷金に相当する収入がある。

 それにそもそも、敷金は家賃滞納を保全するものであって、補修費用ではない。

 私は、つい気を許して、「そもそも、通常の使用での補修は家主が負担べきなんですよ」と、つい本音の持論を持ち出してしまった。

 1月4万円の家賃はたいしたことはないと思うかもしれないが、1年では約50万円、5年だと200万円以上になる。

 普通の小売業だと粗利は3割くらいだから、1年に150万円以上の買い物をしてくれるお客さんになる。

 昔は、家を貸してやるという考えの家主が多かったが、今は、家を借りていただくという考えになってもらわないといけない。

 私の持論は、まだまだ続くのだが、この家主さんは前述の私のイントロ部分を聞くと、明らかに不愉快な顔になった。

 そして、私の話の続きを聞こうとはせず、「ま、とにかく、よろしく頼んどきます」といってお帰りになった。

 またまた、やってしまった。

 親切だと思ってやっていることが、相手を不愉快にしてしまう。

 わかっているから、なるべくやるまいと心がけているのだけど、ついつい気を許した相手に対してやっしまう。

 このお客さんは、早く決めてくれればどこでもいいという気持ちで、複数の不動産会社に依頼しているのだから、「がんばってます」とだけ言っておけば良かったのだ。

 今日は不快にさせてしまったが、入居者を決めてしまえば、またいい不動産屋になれる。

 決めることができないと、講釈ばかり垂れる悪徳不動産屋と言われてしまうのだろうなあ。

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