特許逃した日本 3Dプリンター
次のヒット商品と目されている3Dプリンターの特許を、日本がとりそこなっていた。
アメリカでは、一般家庭に3Dプリンターが急速に普及しつつある。
玩具やフィギアー、食器やコップなどが簡単に自宅で作れるのだ。
日本でも、3Dプリンターで殺傷能力がある拳銃を自作して銃刀法違反で逮捕者が出た。
これからますます発展しそうな3Dプリンターなのだが、海外に特許をとられ、本体だけでなく、消耗品、ソフト、すべて海外勢に押さえられている。
経済産業省幹部も「樹脂の3Dプリンターは海外に先行され、もう勝ち目がない」と認めているという。
3Dプリンターを使えば使うだけ、海外にお金が流れるというわけだ。
この3Dプリンターの技術につながるアイデアが、30年以上も前に日本人が思いついていたというのだ。
名古屋市工業研究所に勤務していた小玉秀男さん(64)が、その人だ。
樹脂は光が当たった部分だけが固まる性質があり、洗い流すと固まった部分だけが盛り上がった。文字の形に光をあてると、その部分だけが盛り上がってハンコのようになり、そこにインクをつけて新聞を刷るという仕組みを見て、この工程を繰り返して樹脂を重ねれば、立体物が作れるはずというアイデアがひらめいた。
小玉さんは手のひらに乗る大きさの2階建ての家をつくった。
厚さ2ミリの層を27枚重ねた家は、細かい間取りやらせん階段、食卓まで作り込まれていた。
小玉は特許を申請しようと周囲に相談したが、職場の支援は得られず、自力で特許は申請した
論文を書いて日本と海外で発表し、アイデアを公開したが、反響は芳しくなかった。
それで意気消沈したこだまさんは、特許を取るには申請後に「審査請求」をする必要があるが、その手続きをしなかった。
ところが、95年、小玉は英国の民間財団が優れた発明に贈る「ランク賞」を受賞。
3Dプリンターの基礎技術を世界で初めて発表したことが評価されたのだ。
このときの共同受賞者が、米国のチャールズ・ハル。
小玉さんにに遅れること4年、84年に特許出願し、3Dシステムズというベンチャーを起業していた。
その3Dシステムズはいまや、米ストラタシス社に次ぐ3Dプリンターの世界の2大大手になっているという。
小玉さんは、「失敗したと、悔しい思いをした。自分の研究成果の意義をもっと分かってもらう努力をすべきだった」と悔やんでいるらしい。(以上、朝日新聞13日より)
なんとも、もったいない話だ。
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