悪徳不動産屋日記 家主さんに完敗
携帯電話が鳴った。
発信者は、私が管理の依頼を受けている家主さん。
はて?なんだろう?
今日は管理家賃の振込日。
振込に手違いでもあったのかと思いつつ、「お世話になります。赤池です。何かありましたか?」と、電話に出る。
「うん。ほかでもないだけど、猛烈な台風が来てるじゃろ。」とおっしゃる。
台風対策をしてくれという依頼かと思いつつ、あとの言葉を聞く。
「このままだと、直撃しそうじゃな」
やっぱり、台風に対する防災対策の依頼のようだ。
何をしてくれというのだろう。
しかし家主さんの依頼は、まったく私の予想外のことだった。
ニュースで、今度の台風が記録的な大きな台風だと言っている。
家主さんの貸家が結構古い木造の建物なので、入居者に頑丈な建物に避難するように伝えてくれないかということだった。
というのも、賃貸物件は住居付の店舗で、ネパール料理店をやっている。
住み込みで運営しているネパール人の従業員さんが、日本語がほとんどできないので、早めに対策を伝えておかないと、緊急の場合の対処ができないのではないかと心配してのことだった。
いつものことながら、この家主さんの人柄の良さには驚きさえ覚える。
古い建物なので、建物の補修や設備の修理が出るのだが、その度に「それはお困りだろう。すぐ修理してあげてください」との返事がある。
通常、家主が負担するべきか入居者が負担するべきか迷う案件でも、すべて「お困りだろうから、早く直してやってください」と言ってくれる。
35年、不動産業に従事しているが、自分の建物のことはそっちのけで、入居者の安否を心配する家主なんて、いまだかつてお目にかかったことがない。
悪徳不動産屋の私としては、まいりましたとひれ伏すしかなかった。
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