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2014年11月 8日 (土)

悪徳不動産屋日記 無料査定と無料相談 その2 

  早く帰ってくれと言わんばかりの私の横柄な態度が、逆に商売気がないと思って安心したのか内情を打ち明けてきた。
 
 
  急ぎの仕事の最中で、早く帰ってもらいたいというのが本音なのだけど、いろいろ聞いてきて帰る気配はない。
 
 
  相談の家は親の所有していたもので、いろいろ問題を抱えていた。
 
 
  相談者は埼玉在住で、相続人はこの方の他にお兄さんがいる。
 
 
  親が亡くなって、現在、その家は賃貸中とのこと。
 
 
  この賃貸の内容が、なんともよくわからない話で、お兄さんの知り合いからの話で家を貸していた。
 
 
  その家賃が月額1万円ということ。
 
 
  どういう理由で1万円で貸したのかはわからないが、とんでもく安い家賃だ。
 
 
  中は見ていないが、この近辺の一戸建てだったら5万円前後が適正な家賃だろう。
 
 
  おまけに、賃借人が勝手に、駐車場だった部分に店舗を建てて営業しているというのだ。
 
  「これは契約違反でしょう?」と言うのだが、貸すときに契約書も交わしていないし、口頭でもなんの約束もしていないのだから、契約違反はないだろう。
 
 
  増築については家主の了解をとらなくてはいけないが、10年以上もこの状態を放置していたというのはまずい。
 
 
  今回、賃借人に建物の現状復帰と退去を求めたところ、経済的に他に移る余裕がないと、のらりくらりとした返事だったという。
 

  それはそうだろう。
 

  店舗と住居で1万円の家賃だから、なんとか商売も成り立っているのだろう。
 
 
  相談者としては、この入居者を退去させて売却したいというのが本心のようだ。
 
 
  しかし私が、「退去させたら売るつもりなんですか」ときくと、「いや、何も考えていない」と言う。
 
 
  とにかく、こんな非常識な入居者を退去させたいという。
 
 
  売却を依頼したいのであれば、入居者との問題解決に知恵も出すし汗をかいてもいい。

  今回の帰省で、近所の人といろいろ話をしてきているようだし、近所に購入希望者がいるのかもしれない。
 
 
  またしても、無料で知恵だけ貸してくれということのようだ。
 
 
  口約束だけでの賃貸借で、家賃が常識外に安すぎる。
 
 
  そこを糸口に解決のアイデアは思いつくが、仕事として私に依頼するような気配はないし、私のアイデアでうまくいっても感謝はしないだろう。
 
 
  そう思いつつも、一番可能性のあるやり方は、ある程度の立ち退き料を提示して退去してもらうことだと助言をした。
 
 
  すると、こんな人にお金を払いたくはないと言う。
 
 
  「じゃあ、勝手にしな!」と言いたい気持ちをぐっと我慢して、「なかなか難しい問題ですね。弁護士さんにでも相談されたほうがいいですよ」と、話を打ち切りにかかった。

  ところが、すんなりあきらめない。
 
 
  自己流の法律解釈を振りかざして、私に同意を求める。
 
 
  こんな人の話にうかつに同意すると、「あの不動産屋がこう言っていた」と、私を交渉の盾に使われかねない。
 
 
  私としては、とにかくお引き取り願いたいのだが、あれこれ方法を聞いてくる。
 
 
  私は悪徳不動産屋。それで、意地悪く「売却をしたいから問題解決をしてくれというのであれば、考えられる手段はいろいろありますよ」と言ってやった。
 
 
  私に売却を依頼するのであれば、実現できるかどうかやってみないとわからないが、入居者との立退きの話もする。
 
 
  通常ではありえない家賃なので、家賃の値上げから交渉していくことになるだろう。
 

  すると、案の定この相談者、「その手段というのを教えてください」ときた。
 

  ここまでくると、悪徳不動産屋の本性を出さざるを得ない。
 
 
  「教えませんよ!」と冷たく言い放った。
 
 
  それに動じるどころか、不満げに「どうして教えてくれないんですか。教えて下さいよ」と食い下がってくる。
 
 
  それで、「教えても私の仕事になりませんからね」と私。
   
 
   敵もさるもの、私の言葉の意味などまったく気にもとめず、「もったいぶらずに教えてくれてもいいじゃないですか」と、あつかましく粘ってくる。
   
   
   そこで、「私に仕事として依頼をするのであれば、うまくいくかどうかはわからないけど、私なりの方法で入居者と話をしてみますけど、その方法だけを教えてくれと言っても教えませんよ。私は不動産業者なんですよ。」と、ご主人の方に最後通告をつきつけた。
   
   
   ここまでの話は、もっぱら奥さんのみ。
   
   
   ご主人は、そばで聞いているだけだった。
   
   
   奥さんの方の親の問題だから、ご主人はそこまで感情的にはなれないのだろう。
   
   
   奥さんは自分の欲で熱くなっていて、私の言葉を理解しそうにはない。
   
   
   それで、ご主人の顔を見て最後通告をしたというわけだ。
   
   
   ご主人は私の言葉の意味を理解し、「(私に)売却を頼むのなら立退き交渉もしてくれるということだよ。アイデアだけ教えてもこの人の仕事にはならないからね」と、奥さんに言った。
   
   
   奥さんもやっとなっとくして、「そういうことね。先々、売ることになったら相談するから名刺をください」と言って、ようやく開放してくれた。
   
   
   忙しいのに1時間近く、お居座りになられた。
      
   
  なんだったのだろう?
 

  やはり、近所の人に買ってもらえるという公算があって、手数料を払わずに済ませたいというところなのだろう。
   
   
   恐らく、私に依頼するのは、自分でやってみて、売買の話も立退きの話も、どうにもならなくなったときだろう。
   
   
   私も悪徳不動産屋。そんなことになる前に一言、言ってやった。
   

  「状況次第で、お断りすることもありますよ」
 

  これだから、悪徳不動産屋と言われてしまうんだろうなあ。

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コメント

相変わらずこのシリーズは面白いです。
それにしても、私の住んでいるところは6年越しで台所のシンクの水漏れを管理会社に訴えているのですが、大家が渋っているとかで一向になおす気はないようです
しっかり取る者は取っているのにあきれたものです。

 藤按さん、いつもありがとうございます。

 私の場合、私が法律です。

 大家に直させます。

 家主も、修理しないと建物が傷むので自分が困るのですけどね。

 こんな家主は、入居者が退去の際に、修理代として請求してくるかもしれません。

 とんでもないことです。

 

 

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