悪徳不動産屋日記 管理地代送金ミス
当社で集金管理をしている駐車場の地主さんがお見えになった。
駐車場といっても契約台数は4台。
自宅の庭先を駐車場として貸しておられる。
私の家内がやっている仕事場の隣家の方で、自分の自宅内ではあるし、たった4台のことだから自分で管理をすればいいのだけど、悪質な滞納者がいて私を頼って来られた。
私の事務所から歩いて5~6分くらいのところにあるのだが、来店は初めてのこと。
急にお見えになったというのは、なにかあってのことだろう。
そういえば、こころなしか顔が引きつっている。
ひょっとして、駐車料を振込忘れていたのかなと不安がよぎる。
「どうかされましたか?」と、店の入り口で出迎える。(出迎えるというほど大きな事務所ではないが・・・)
「いやー、わずかな金額なんだけど、なんか気持ちがモヤモヤしてね・・・」とおっしゃる。
「わずかな金額?」その意味がわからず、私が怪訝な顔をしていると、銀行の預金通帳を差し出された。
「毎月、2万円振込してもらっているけど、先月は1万8千円しか振り込まれてなかったのよね。今月は2万円振込してもらっているけど、先月の分が2千円足りないのが、どうしても納得がいかない」と言って通帳を指し示した。
年輩の女性の一人暮らしのせいか、お金の出入りの少ない通帳だった。
ここ3カ月分の振込が1頁に収まっている。
確かに先月分は1万8千円しか振り込んでいない。
突然のことで、すぐには原因を思い出せなかった。
私は、管理家賃の振込はインターネットバンキングを利用している。
パソコンのキーボードの打ち間違いがないように気をつけているのだが、過去に2、3度間違って振り込んだことがある。
それは、同じキーを重複して叩いてしまったり、隣のキーに手が触れたりしての間違いだった。
2万円を1万8千円という打ち間違い方をするというのはどういうことだったのだろう。
貸家だったら、簡易な修理代だったり、蛍光灯の取り替えといったこともあるのだが、駐車場だと臨時の出費はない。
悪徳不動産屋の本領発揮。「どうして間違ったんでしょうかねー?」と、無責任とも思える言葉を発しつつ通帳をながめた。
地主は、「おたくとにはお世話になっているし、2千円くらいのことでがたがた言いたくないのだけど、どうしても気持ちの整理がつかなくてね・・・」と、角を立てないように気をつけて喋っているつもりなのだろうが、この1カ月以上悩み抜いてきたことが、ひしひしと伝わってくる。
私は、急なことで一瞬動転したのだが、すぐに思い出した。
過去にもあったのだが、弾みで同じキーボードを2度打ちすることがある。
先々月、20000とキーボードを叩くべきところを、22000と打ってしまった。
相手先と金額を確認して送金ボタンを押すのだが、間違いだと気がついたのに、はずみで送金ボタンを押してしまった。
知らない仲じゃないし、その月の送金明細書に、「2,000円多く振り込んでしまったので、来月その分を相殺して送金させていただきます」と備考欄に記載しておいた。
次の月にも、2,000円振込が少ない理由を書いた振込明細書を届けておいた。
そう説明したが、その振込明細書には目を通していないとおっしゃる。
そこで私は、通帳のその前の月に2千円多く振り込んでいる箇所を指し示して、「ほら、このとき2,000円多く振り込んでいるでしょう?それで、この月に2,000円減らして送金させてもらったんですよ」と説明した。
すると、「私は、いつも送金明細書を見てないから、わからなかったわ。わずかな金額じゃけどね。はっきりしておかないと気分が悪かったものでね。これですっきりしたわ」と言ってお帰りになられた。
送金明細書を見てなくても通帳は見ている様子。
その証拠に、2,000円少ないことには気づいていた。
しかし、2,000円多いことには気づかなかったようだ。
善良なお客様がそのことに触れることはなかった。
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