悪徳不動産屋日記 貸さないほうがいいのか?
今日は貸し店舗の案内が2つあった。
店舗の案内が2つもあるというのは珍しいこと。
市内には、入居者募集のポスターが貼られたままの店舗があふれている。
当地(宮崎県の北端の街・延岡市)も、旧市街地はシャッター通り商店街と化していて、2年も3年も空いたままになっている店舗が目立つ。
5年以上空家のままという物件も少なからずある。
依頼を受けている不動産会社があきらめきったかのように、入居者募集のポスターの文字が消えてしまってるところもある。
そんな中での2件の案内。
しかも、2件とも借りたいという感触であった。
ただし、2件とも家賃値下げの交渉が入った。
私は、店舗については常識外に安すぎない賃料であれば、借りたいという人の希望の家賃に合わせて貸すほうがいいと思っている。
この先2年、3年と空いたままになる可能性が高いと思う物件が多いからだ。
今日の案内物件のうち1件は私の知人が家主。
気安く何でも言える仲なので率直に伝えると、即座に了解いただいた。
もう1件の家主さんが今日の話題の人。
こちらは旧商店街にある店舗で、長い間空いていて商談もめったにかからない。
こちらの方が先行きが厳しいと思われる物件。
借り手が希望する家賃は家主の設定の2割引き程度だった。
もともと家主は1割引程度のことは考えていたわけで、ちょっと迷うところだろうが貸した方がいいと判断した上での交渉である。
家主さんに話をしてみたところ、案の定返事は重い。
私も、家主がすんなり了解するとは思っていなかったが、市場からして貸した方がいいと思っている。
家主さんは、ずっと空いたままで商談もかからないときは家賃を下げてでも貸した方がいいと思っているのだが、いざ借手がきて商談がかかると欲がでる。
商談が入ると、借手は借りたくてたまらないと思ってしまうようだ。
しかし、借手には借手の予算がある。
借りると決心するのは「自分が希望する条件になったら」ということだ。
この借手にとって、店舗の広さはこの半分くらいでもいいのだ。
といって面積を狭めて貸すこともできない。
だから、家賃を2割くらい引いてもらえないかということなのだ。
条件が合わなければ他を探すことになるだけのこと。
そうなってしまうと、次の借手が見つかるのはいつになることやらわからない。
それで、私なりに説得してみた。
家主は納得しない。
条件が折り合わなければ貸さなければいい。
借手も同じこと。
条件が気に入らなければ借りなければいい。
私は基本的にそう思っている。
ただし、素人さんはせっかくのチャンスがきているのに気がつかない場合がある。
だから、私なりに説得はする。
しかし、説得を聞き入れない人を強引に説得するようなことはしない。
店舗といっても家賃は一桁万円の話なので、普通ならさらっと話をしてみて、だめならすっと話を終わらせるのだが、今日はちょっとだけしつこく説得してみた。
これを逃すと、あと1、2年、ひょっとするとそれ以上空いたままになると思うからだ。
最後に、 「私も賃貸物件をいくつか持っていますが、私が家主なら今回の条件であれば貸しますよ」と提言した。
それに対して家主さんは「そんなに安く貸せない」「家賃を下げると困るんだ」とおっしゃる。
家主さんを困らせるつもりはない。
私が困らせているのなら、即座に商談を断ってもらってもかまわない。
ただ、困るという意味がわからない。
それで「なにが困るんですか?」と聞いてみた。
するとその答えが、また私には理解できないものであった。
この家主さんは本業は小売業なのだが、今、商売の方が景気が悪いから家賃を安くすると苦しいと言うのだ。
「??」
悪徳不動産屋の私は、「それなら多少安くしてもすぐに借りてもらった方がいいんじゃないですか。貸せば○万円入るわけだけど、貸さなければ1円も入らないんですよ」と厭味な台詞が口からでそうになった。
しかし、家主さんが自分で判断した結論。
それに従うしかない。
かくしてこの店舗のシャッターが開かれるチャンスはなくなった。
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