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2015年2月 1日 (日)

寂しい墓標

 25年以上も前のこと、お客さんの職場にかかっていたカレンダーを目にして、私は衝撃を受けた。

 「そのうち そのうち べんかいしながら 日がくれる」

 下手くそな筆文字に見えたが、なぜか惹かれるものがあった。

 「みつお」という署名と落款がある。

 お客さんの名前も「みつお(三男)」だった。

 先生と呼ばれる職業の方で、若くして人から尊敬を集めていた。

 私は、この先生の書をカレンダーにしているのかと思った。

 職員さんにたずねてみたら、市販のカレンダーだとのこと。

 インターネットの無い時代で、「みつお」なる人の正体を調べるすべがなかった。

 しかし、下手くそに見える文字が気になってしかたがなかった。

 カレンダーをよく見ると、大きな筆文字の下に小さな活字で詩のようなものが書いてあった。

 そのうち…
 そのうち…
 そのうち…   と

 できない理由を
 くりかえしているうちに

 結局はなにもやらなかった
 空しい人生の幕が下りて
 頭の上に 寂しい墓標が立つ

 私は、このままでは「寂しい墓標」が立ってしまうと感じた。

 寂しい墓標が立たないように、「今、やろう」と思った。

 しかし、「今、やろう」は、「そのうちに」「そのうちに」と、25年余り手つかずのままだった。

 今まさに、自分の頭の上に「寂しい墓標」が立ちつつある。

 もうそれは、避けようもないことかもしれない。

 そう感じて、何も言えなくなってしまいそうになっている。

 まだ、なんとかしたいとは思っているが。

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