悪徳不動産屋日記 自分にやさしく
昨日、当社が買主での取引があった。
売主さんは、現在住んでいる家は2軒めの家で、最初に買った家を息子さんを住まわせていた。
息子さんが住んでいた家を売りたいという依頼だった。
営業職のせいか、この人の性格なのか、自分のペースで商談をすすめてくる。
過去に不動産取引を2度経験しているせいもあってか、悪徳不動産屋の私が、まったく自分のペースをつかめない。
結局、売主のペースで契約が決まった。
もう少し価格交渉をしたかったのだが、結局売主の希望の価格で契約になった。
不動産取引は3度目とはいえ、相手は素人。
取引の手続きについて書面で説明をするのだが、話を軽く聞き流す感じがして、なんだか不安を覚える。
取引について必要な書類等については、前もって文書で案内している。
必要書類は、権利書、印鑑証明書、住所変更登記用の住民票。
書面を見ながら、口頭でも説明したのだが、「そんなことわかっているよ」というように、さらっと聞いている。
「ほんとにわかっているのかいな」と、なぜか不安がよぎる。
2日前に念のために電話で確認すると、「わかっている」と言う。
話は調子がいいのだが、不安がぬぐえない。
それで、前日にも最終確認の電話をいれた。
しつこいと思われるかもしれないから「明日の取引の件ですが、予定通りでいいでしょうか?」と、話を切り出す。
「書類の準備はできてますか」という言葉をハッスル前に、「いいよ。書類も全部揃っている。」と言う。
はたして、昨日の取引となった。
少し早めに銀行に行って、すぐに代金を支払えるように段取りをすませて売主さんを待った。
司法書士と、売主さんが同時に銀行に入ってきた。
代金の準備はできている。
中に 応接室で、司法書士に必要書類の確認をしてもらう。
「書類をお願いします」と言うと、大きな書類封筒の中から書類を取り出した。
家にある重要書類入れにしていた大きな封筒をそのまま持って来たようで、いろんな書類が入っているようだ。
「これでいいんでしょう?」と言って、書類を取り出す。
印鑑証明書、住民票はあるが肝心の権利書がない。
「権利書がないですよ」と言うと、「これでしょ」と指し示したのは、購入時の売買契約書だった。
「これではないですね」と、封筒に入っている書類を確認させてもらう。
ごちゃごちゃと書類はあるが、肝心の権利書はない。
あったのは抵当権抹消の登記済証や、登記簿謄本や、売買契約書のコピー。
「これは意味のない書類で、全部捨ててしまっても良かった書類ですね。肝心の権利書はありません」というと、
不安が的中してしまった。
不安のあるお客さんの場合、事前に権利書の確認をするのだが、この方の自信満々な態度に確認を省略してしまった。
人は自分にミスについては寛大だ。
そして、お客さんは突然、素人になる。
「素人だから、どれが権利書かわからんよね」と、まったく悪びれたところがない。
権利書が無い場合は、司法書士の本人確認情報作成してもらうことによって取引はできる。
ただし、本人確認情報作成については2万から3万円の費用がかかる。
費用がもったいないので、司法書士がお客さん宅に行って権利書をいっしょに探してみるということで、時間をあらためての取引になった。(この顛末については後日お話したいと思っている)
当然ではあるが、お客さんから「申し訳ない」という言葉は発せられなかった。
今回、当社が買主だったから良かったものの、買主が普通のお客さんだったら激怒されたことだろう。
かくして、またしても悪徳不動産屋が誕生することになるのである。
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