悪徳不動産屋日記 120年ぶりの民法改正と不動産取引
民法改正の最終案が固まった。
民法は5編にわかれているが、今回改正されるのは主に契約に関する部分で、「債権法」と呼ばれている部分だ。
民法の内容が改正されるのは、1896年に民法が制定されて以来120年の歴史の中で初めてのことである。
改正は200項目にも及ぶそうだが、不動産取引にかかわる注目すべき改正がいくつか行われている。
まず、賃貸借契約の敷金の定義が明文化された。
これまでは敷金の定義については民法では明確にされていなかった。
改正案では敷金について、「いかなる名義をもってするかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。」と明文化されている。
また敷金返還時期についても、「賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき」と明文化される予定である。
さらに、賃貸借契約終了時の原状回復義務について、「通常損耗あるいは経年劣化原状回復義務の範囲には含まれない」というこれまでの判例が明文化される予定だ。
通常の生活で傷めたり日焼けしたりした畳・襖・壁紙の張り替え代の請求を拒むことができることになるわけだ。
これで、契約終了時に家主との間でトラブルの多かった敷金返還について交渉がやりやすくなる。
一部ではあるが、何だかんだと難癖をつけて敷金を返そうとしなかったり、現状回復と称して室内のリフォーム費用を請求する家主がいた。
そんな家主には、私は30年前から戦いを挑んできた。
そんなとき「悪徳不動産屋」呼ばわりされたが、やっと私の理論が法制化された思いだ。
不動産の賃貸借で、もう一つ気をつけなくていけない改正点は、連帯保証人についての改正だ。
連体保証人も大きな改正がされる。
このことについては、また別の機会にとりあげたいと思うが、賃貸借契約にあたって「個人根保証契約について極度額設定の義務化」については、従来の賃貸借契約書を見直す必要のある重要な改正点になる。
「個人根保証契約について極度額設定の義務化」というのは、「一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約(「根保証契約」)であって保証人が法人でないもの(「個人根保証契約」)の保証人は、極度額を限度として保証債務を負う(その範囲でしか負わない)ことが規定され、かつ、書面により極度額を定めないと保証契約自体が無効となる」という規定だ。
賃貸借契約の連帯保証契約は「根補償契約」になるので、極度額を定めてない契約では補償契約が無効となる。
改正後は、宅建協会等で基本となる契約書が提供されることになるだろう。
考えられるのは、契約書の連帯保証人の条項に極度額を明記することになるのだろうが、巨額の極度額を設定すると、保証人のなりてを見つけることが難しくなるかもしれない。
かといって、定額の極度額を設定したのでは債務不履行の担保ができないことになり、極度額の設定については、なかなか悩ましい問題になるかもしれない。
悪徳不動産屋の私が心配するまでもなく、加盟している宅建協会が民法改正の対策は指導してくれるだろう。
善良なる消費者の皆様も自分にかかわる改正点には、くれぐれもご注意ください。
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