悪徳不動産屋日記 管理委託契約
ガラスのドア越しに、あまり嬉しくないお客さんの顔が見えた。
管理の依頼を受けてはいないのだが、ちょっと問題があると、なんでも相談に見える。
相談を受けるのはやぶさかではないのだが、ささいな問題でも深刻にとらえて、この世の終わりのような顔で来られるもので、その顔を見るとこちらまで気分が落ち込みそうになるのだ。
先日、お世話した入居者となにかあったのだろうか。
管理はご自分でするということなのだけど、ちょっとした問題でもすぐに私に相談に来られる。
家賃の遅れにしてもは、自分で請求することもなく私に請求を頼みに来られる。
それで今回の契約にあたっては、月末に家賃の入金が無かったら、即座に家賃が入ってない旨を伝えて、支払いを催促しなくてはだめですよと助言していた。
さらに、3日前には、もうすぐ月末なので、30日には家賃の入金を確認してくださいねと念をおしておいた。
というのも、この入居者は家主さんの知り合いからの紹介だったが、私の勘にちょっとひっかかるものがあったからだ。
果たして家主さんの要件は家賃のことだった。
私に言われていたので、今日、通帳を確認したところ家賃が入っていなかったというのである。
そして、私に言われていた通り、すぐに電話を入れたところ、不動産屋(私のこと)から振込口座を聞いていなかったから振込ができなかったと言われたのだと言う。
振込口座は賃貸借契約書の記載事項。
確かに記入したし、契約書の読み合わせで、家主持参にすると記録が残らないので振込にしてくださいと説明した。
頭をかかえて来られた家主さんには、「そんなのは言い訳ですよ。振込口座は賃貸借契約書に記載してありますよ」と伝えた。
しかし、私は、うっかり忘れが多い悪徳不動産屋である。
ひょっとして、記載もれがあったかなと思って賃貸借契約書のファイルを引っ張りだして確認してみた。
振込口座はちゃんと書いてある。
その部分をコピーして、「これを持って行って、家賃を入れるように言って下さい。まだ銀行は開いているから今日中に入れるようにお願いしてくださいね」と伝える。
そもそも、家賃を払わなければならないという自覚があるのであれば、私なり家主なりに聞けばいいこと。
家主さんにしても、振込口座がわからないというのが理由ならば、自分で振込口座を教えればいい。
私の事務所に来る手間がもったいない。
それにしても、入居した次の月から早速この状態であれば、先々家賃の遅れが出ることが十分考えられる。
その度に、この世の終わりのような気持ちにさせては家主さんがかわいそうだ。
それで数時間後、家賃集金管理を私にまかせたほうがいいのではないかと提案してみようと思って電話をしてみた。
すると、「あ。おかげさまで、家賃の振込がありました」とのこと。
私は、それはよかったですね。でも、家主さん。この入居者は、この後も家賃が遅れることがある可能性が高いかもしれませんよ。だから、この際私に家賃集金をさせた方が安心じじゃないですか」と提案してみた。
家主の返事は早かった。
「いや、大丈夫です。自分でやってみます。」
想定通りの返事だった。
「以前あったように、3カ月も4カ月も滞納された後に集金依頼をしても引き受けられませんからね。いいですね」と伝えた。
このことを伝えることが悪徳不動産屋の作戦だったのである。
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