悪徳不動産屋日記 素人に教わる悪徳不動産屋
一昨日の飲み会でのこと。
同席した人から、「今、ウチのあたりの土地の値段はどのくらいだろうかね」と聞かれた。
この人は、10年くらい前に自宅を売りに出していた経緯があった。
そのときは、結局売らなかった。
売らなかったというより、売れなかったと言った方がいいだろう。
旧商店街にあって、日当りはまったく無いし、車の通行も規制があるので住宅にには転用できない地域だった。
そのときは売らなくてはいけない事情があったようで、安くしてでもも売りたいということで私の付き合いのある不動会社に売却を依頼していた。
まったく商談がかからず、やっとのことで、唯一かかった商談は、坪当たり10万円なら買ってもいいという話だった。
本人の希望売却価格は坪当たり20万円で、10万円では安すぎるということで商談はまとまらなかった。
その後まったく商談はかからず、売却の話はなくなっていた。
その人から価格を聞かれて、私は答えるのをためらった。
売るとなると、結局あのときと同じ状況だろう。
善良なる素人さんは自分が想定している価格より安く答えると気分をこわす。
それだけでなく、怒りだす人もいる。
「んーーん。どうでしょうかねーー」と答えあぐねていると、「坪7万円蔵だろうか?」と聞いてきた。
なかなか売れにくい地域ではあるが、坪当たり7万円では安すぎる。
緊急に売らなくてはいけない事情でもできたのだろうか。
しかし、いくら売り急ぐにしても7万円はあり得ない。
それで、「7万円は安すぎますよ。安くなったといっても、そんなに安くする必要はないですよ」と答えた。
すると、「え?もっと高いの?」と不満そうに言うではないか。
私は、「売るなら、坪10万円くらいでも売るくらいの気持ちを持っていた方がいいけど、そこまで安くしなくても売れることも考えられますよ。」と続けた。
その私の言葉を遮って、「坪7万円くらいのものじゃないの?」と、さらに不満そうに言う。
なにがなんだかわからない。
すると「いや、隣の家を買おうと思っているのだけど、坪7万円くらいじゃろう?」と言うのである。
買う立場になって、相手の足元を見て買いたたいているということのようだ。
「7万円ということはないでしょう」という私に、「今は、こんなもんじゃないのかえ?」とおっしゃる。
旧商店街は需要が無いとはいうものの、市の中心街。
建ぺい率70%、容積率500%の商業地域。
固定資産税の評価でも坪10万円以上はする。
当地(宮崎県の北端の街・延岡市)のような疲弊している地方都市といえども、坪7万円といえば郊外の農地の価格である。
そこで、「〇〇さん。あなたの家を坪10万円では売らないでしょう?」と聞くと、むすっとして黙ってしまった。
自分が10万円は安すぎるといっ腹を立てて売らなかった。
買う立場になったとたんに、自分が腹を立てた価格以下の価格で買おうとする。
いやはや、悪徳不動産屋の私にはできない商談である。
こんな考え方をする人間は、人も同じだと思っている。
そんな考えだから、不動産を生業としている私を、それ以上にあくどいことをやっていると思っているのだろう。
そんな奴らに、「悪徳不動産屋」と言われているのだ。
情けないことに私は、善良なる素人さんに教えられることが多いである。
善良なる素人さんの自己中心的な発想で仕事ができないから、いつもお金に困っているんだなあ。
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