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2015年4月 2日 (木)

悪徳不動産屋日記 民法改正 連体保証人

 もう一つの大きな改正点として、賃貸借契約の連帯保証人の保護の問題。

 保証人の問題については、当初は、連帯保証人の原則禁止も検討された。

 それで、新聞・雑誌で「保証人の原則禁止」などという極端な表現を見かけることも多いが、「禁止」というのは正しくはない。

 当初、払いきれないほどの借金を背負わされた保証人が、自らが破産に追い込まれたり、生命を絶つという悲惨な事態を防ぐために、「保証人禁止」が検討されていた。

 ことに、連帯保証人という制度は日本独自の制度なのだ。

 ただし実際問題として、保証人がとれないとなると、金融機関の融資条件が厳しくなり、貸し渋り状態が発生し、経済活動が阻害されることになる。

 それで「保証人の禁止」は見送りとなった。

 しごく当然のごとくである。

 その後の、新聞雑誌の多くが取り上げている連帯保証人の保護の問題は、企業向け融資における保証人の問題である。

 内容は、企業向け融資において、第三者が保証人になる場合には、保証契約締結前1か月以内に公正証書を作成して保証人となる意思表示を明らかにすることとされているもので、当初の案からするとまったく形骸化された内容になっている。

 このことより、不動産取引に大きな影響を及ぼすのは、個人が保証人になる場合、事前に極度額(保証する金額の上限)を定めなければならないということの方だ。

 当地(宮崎県の北端の街・延岡市)のような田舎町だと、家賃はせいぜい4万円か5万円くらいのもの。

 保証人になっても、せいぜい2、3カ月分のことで、10万円か20万円のことにしかならない。

 そう思っていたら、突然1年以上の滞納分の50万円も60万円も請求されてトラブルになったという話を聞いたことがある。

 1年も2年も滞納していて、その間保証人には何の連絡も無く、突然、まとめて払ってくれと言われれば、文句を言うのは当然だ。

 こんなにたまる前に言ってくれれば、保証人から家賃を払うように督促することもできたはずだ。

 それでも払わないときは、保証にとして退去を促すこともできただろう。

 保証人として、それは理屈ではなく当然の主張だと、私は思う。

 実際、借家人にとって保証人になってもらっている人には義理があって、裏切れないという関係が多い。

 だから、不動産業者の請求には無視を続けていても、保証人から厳しく言われて、それを無視できる人は少ない。

 ただ、私が体験した悪質入居者にこんな輩がいた。

 この悪質入居者は何年にも渡って家賃を払っていなかった。

 悪質入居者の兄と姉が連帯保証人になってた。

 お二人とも非常に人柄の良い方で、弟のことだから苦しいときに助けてやるのは当然のことと、家賃を肩代わりしてきていた。

 しかし、当の本人はいつまでたっても家賃を払おうとしない。

 肩代わりをしながらも、保証人は、再三、家賃を払うように請求したのだが、当の本人はまったく応じようとしない。

 立替が1年以上に及んで、肩代わりがいつまで続くのやらわからない。

 
 悪質入居人は自営業で、店を倒産させていた。

 しかし、手に職のある仕事だったので、なにがしかの収入を得ているはずだった。

 保証人の兄姉に対して「迷惑をかけて申し訳ない」という言葉すらない。

 人の良い保証人兄妹も、さすがに、これ以上迷惑を受けるのはごめんだから、どこか別な借家を探して出て行くように言った。

 すると、「出て行けと言われても、引っ越す金も無いし、次の家を借りる保証人もいない」

 さらには、「保証人の意味がわかっていて保証を引き受けたのだから、俺が払わないときは替わって払うのは当然だ。それを承知で保証人になったのだろう。

 (俺の代りに)ずっと家賃を払い続けろ。俺はここに居続けてやる」と開き直おる始末。

 ほとほと困り果てて、私に相談に来た。

 どうやって解決したかは省略するが、こんな極端な例はめったにあるわけではない。

 
 しかし、家賃の滞納が半年、1年になるまで家主がほっておいて、そこであわてて保証人に請求するという事態はときどき見かけられる。

 1、2カ月分ならまだしも、家賃滞納も、1年分となると大層な金額になる。

 請求を受けた保証人は、「こんなになるまでほったらかしにしていた家主も悪い。早く知らされていたら、自分が解決できたはずだ」と言って、支払いを拒否することになる。

 保証人の言い分も、もっともだと思う。

 しかし、法律的には連帯保証人というのは、主債務者とまったく同じ立場にある。

 連体保証人は、債権者(賃貸借物件の場合家主)の請求に対して抗弁できない。

 家賃保証のように、積み重なっていく保証について限度が規定されていなかった。

 従って、1年でも2年でも、極端には永遠に保証人としての責任は継続する。

 そして、それを請求されたら拒めないのだ。

 今度の民法改正要綱仮案では、個人保証の場合には債務の内容にかかわらず、保証契約を締結する前に、保証金額の上限を定めておけるものになっている。

 保証金額の上限を定めておけば、想像もしてなかった巨額の請求を受けることはなくなる。

 不動産屋としては、法改正にあわせて契約の書式を変えなくてはならない。

 悪徳不動産屋であるがゆえに、後々もめるようなことはしたくない。

 改正民法の施行は来年度になる予定のようだから、それまでに加盟している全宅連(公益社団法人全国宅地建物取引業協会)が、改正民法にのっとった契約書式を作成してくれるだろう。

 悪徳不動産屋としては、全宅連の書式を期待して待つことにする。

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