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2015年5月 3日 (日)

憲法記念日

 私にとって今日が連休初日。

 今日が憲法記念日ということをすっかり忘れていた。

 昭和天皇のご逝去の後の祝日改正で、祝日の意味がすっかりわからなくなっていた。

 安倍首相がアメリカではしゃいでいる姿がテレビに何度も登場して、私にとって嫌な世の中に進みそうな気がする。

 この人がやろうとしている憲法改正は怖いと感じているのだけど、安倍首相のアメリカ訪問の取り上げ方に比べて、憲法問題をとりあげかたは圧倒的に少ないような気がする。
 それでも、今日が憲法記念日だということは、恥ずかしながら、テレビから教えてもらった。

 憲法改正についての論議が取り上げられていて、あれこれ意見が闘わされていた。

 しかしその論議は、今までになく静かな展開であるように感じた。

 面と向かって憲法改正反対をする意見が圧倒的に少なくなったと感じるのだ。

 そう思いながらテレビを見ていて、憲法改正は条文ではどうなっているだろうかとふと思った。

 重ねて恥ずかしながら、憲法全文をしっかり読んだことがなかった。

 本棚から六法を取り出し、憲法を開いてみた。

 ぱっと開くと、なんということだろう、だった。

 前後を見たが、憲法改正については第96条のみのようである。

 条文はこうだ。

 「この憲法の改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行われる投票において、その過半数の賛成を必要とする。」と規定し、第2項で「憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体をなすものとして、直ちにこれを公布する。」

 この条文は高校の教科書に出てきていた。

 各議員の3分の2以上の賛成というところが試験問題になった箇所だ。

 試験では、各議員を衆議院のみとしたり、衆議院の優越性とひっかけた問題になって登場した。

 「発議」という部分や「国民投票」「過半数の賛成」「天皇は、国民の名」「交付」とというのも試験問題で出てきた用語だった。

 試験に出そうだから暗記した。

 その記憶がまざまざとよみがえる。

 試験のために記憶したのであって、条文の意味を深く考えたことはなかった。

 まったくの興味本位ではあるが、今日、憲法を読んでみようと思って開いたところが、たまたま96条。

 「憲法とは、国家の組織や権限、統治の根本規範(法)となる基本原理・原則を定めた法規範をいう」(ウィキペディア)

 根本規範であるはずなのに、その改正については96条のみなのである。

 学生のころ、試験で問われそうなところだけ覚えて、何の疑問も感じなかったのだが、この条文だけでは、具体的にどうやって憲法改正の手続きをしていくのか、まったくわからない。

 「憲法の改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し」とある。

 「国会が、これを発議し」とあるのだが、これは国会で憲法の改正案を出して3分の2の賛成を得るということなのだろう。

 しかし、「この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行われる投票において、その過半数の賛成を必要とする。」とあるが、ここが実に抽象的で具体性がない。
 「特別の国民投票」より、「その過半数」とあるけど、国民投票を規定する法律は決めていなかった。

 どのような手続きで国民投票をするのか。

 過半数とあるが、それは全国民の過半数なのか、選挙権のある人なのか。

 投票率、有効投票数はどうでもいいのか。

 政治家も有識者たちも国民も、国民投票をする規定がないままに憲法改正を論議してきたということだったのだ。

 私にしても、「国民投票法」が7~8年前に、ちょっと騒ぎになったけど、そういうことだったのかと、今ごろになってわかったというていたらく。

 日本国憲法は戦勝国の圧力の元につくられたという論もある。

 その真偽のほどはさておいて、現在の憲法は、憲法改正をすることが全く念頭になかったのではない。

 私は今日、96条を読んで、短絡的な考え方かもしれないが、現憲法はその成立過程で十分な時間がないままに制定されたものだと感じた。

 しかし、それも憲法。

 憲法改正は現憲法に定められた手続きをとって進めなくてはいけない。

 安倍総理がやろうとしている憲法改正には反対ではあるが、憲法改正は悪だという扱いはやめるべきだ。

 安倍総理を始めとする憲法改正論者の方も、世論に臆することなく正々堂々と改正の必要性を問うべきだ。

 世論の様子をみながら、出したり引っ込めたりというのは正義ではない。

 今日、わずかではあるが憲法記念日についての番組の中で、国民に憲法をどう思うかというインタビューに答える人たちを見ていて安心した。

 日本国民はそんなに愚かではない。

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コメント

やっぱりあなたは悪徳不動産屋に徹した方がいいと思います。
これは実に面白い。人間に対する観察力は非常にいいものを持っていらっしゃると思います。
例えば、あなたの参考にしたインタビューのソースです。
あなたが直接、近所の人に聞いた話ならまだいいのですが、どこかの放送局の実施したインタビューの結果を引用しているところが、チョットなー、惜しいなと思ってしまうのです。
あなたがご自分でインタビューされて、その人の属性と意見の関係をあなたの鋭い観察力を使って分析されると面白いのではないでしょうか。
また、なぜ3分の2?他の国は?など、もっと深く突っ込んだ独自の論理展開を期待しています。

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