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2015年9月 2日 (水)

悪徳不動産屋日記 不動産屋がこわい?

 事務所のガラスドア越しに、年輩の男の人が入店しようとする姿が見えた。

 松葉杖をついていて、ドアを開けるのに手間取どりそうだった。

 すぐ出迎えに行こうとして席を立ったが、手伝うまでもなく無事入店された。

 用件は想像できた。

 おそらく、安いアパートを探しての来店だろう。

 すぐに椅子をすすめて、用件を聞く。

 「安いアパートはないじゃろか?」

 「安いと言うと、どのくらいの予算ですか」

 「3万円以下がいいのだけど」

 予想通りだった。

 希望通りの予算だと、当社には2物件しかない。

 当社は小さい事務所で、賃貸の管理物件は少ない。

 広告をがんがん打つこともしていない。

 ほとんどのお客さんが、当社に来るまでに数件不動産会社をまわっておられる。

 さらになにか掘り出し物はないかということで来店される方が多い。

 当地(宮崎県の北端の街・延岡市)のような田舎町でも、3万円以下の物件は相当古いものだ。

 当社が管理している物件は、1件は2階。もう1件は3階である。

 当然エレベーターは無い。

 「お客さんは、足がご不自由のようですから2階3階は無理でしょうね」と聞くと。

 1階でないと無理だとおっしゃる。

 他の不動産を探し回っていないのだったら、当社で他の不動産会社の管理物件から該当する物件を探すこともできるのだが、すでに数社をまわっている場合は徒労になることが多い。

 「当社が管理している物件で、家賃の希望にあう物件は2つあるんですが、2階と3階なんですよ。当社は預っている物件が少ないから、申し訳ありませんがご期待に添える物件はありません。」とお詫びした。

 すると、「2、3日前の〇〇不動産屋の広告に安い物件がいくつか出ていたのだけど、それはどこかわからんけ?」と聞いてきた。

 他社の広告はスクラップしてあるので、すぐにスクラップブックを開いてみた。

 確かに該当する物件が2件ある。

 この不動産会社は、正式に不動産会社として免許をとっているが、不動産の仲介業務はほとんどしていない。

 相当数のアパートや貸しビルを持っておられて、その物件の管理を業としておられる。

 当社もアパートの入居斡旋を依頼されていて、空き室の鍵はお預かりしている。

 空きがでたらその都度連絡があって、鍵を預けに来られる。

 しかし、このお客さんの希望する地域に空きがでたという連絡はいただいていなかった。

 切り抜きを見ると希望する地域に空きが出ていた。

 お客さんはこの広告を見て、来られたというわけだ。

 お客さんは、「〇〇不動産屋というのは名前を聞いた事のない会社だから、どんな不動産屋か不安で連絡してない」のだと言う。

 私に、「不動産屋はいろいろあるからね。この不動産やはどんな会社なのか」と聞いてきた。

 私は、「この不動産屋さんは、不動産会社というよりも家主さんなんですよ。当社も依頼を受けていまから、すぐに確認します」と言って電話した。

 すると、数日前に空きが出たばったりだったので、連絡をしていなかったのだと言われた。

 お客さんの目の前で電話していたので、お客さんはその内容を理解したようだった。

 「どうしますか。今からでも見て見られますか」と言うと、「ちょっと下見をしておきます」と言って、さっさと帰って行かれた。

 詳しい場所も教えていないのに、ちょっと下見をしておきますはないだろう。

 どんな不動産屋か心配だったから、それを探りにきて、全然心配のない安全な不動産屋だとわかった。

 しかも家主だとわかったから、直接借りれば仲介手数料がいらない。

 それで、直接電話をして案内を受けるつもりなのだろう。

 恐るべしは善良なる消費者。

 またしても悪徳不動産屋が善良なる消費者に翻弄されてしまった。

 

 

 

 

 

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