「ご苦労さま」論争
今朝のワイドショーで、「ご苦労さま」が、ちょっとした紛争をまきおこしていた。
ことのおこりは、大阪府知事、大阪市長のダブル選で、投票をしにきた男性が、投票管理をしていた男性に「ご苦労さん」と言われたことに対して、「ご苦労さんは、目上の者に使うことばじゃない」と激怒し、投票所の机をひっくり返し、投票管理者の頭を平手打ちし、「机の角を脳天に突き刺すぞ」と脅したというのだ。
ワイドショーのコメンテーターたちの見解を総合すると、「ご苦労さま」は目上の人が目下に対して使う言葉で、同じ立場で声をかけるなら「お疲れさま」が一般的だろうということだった。
それにしても、声をかけた投票管理者の男性は70歳。
それに激怒した男性は47歳。
私には、「ご苦労さま」の言葉の意味より、47歳の男性が何をもって、自分の親と同じ年代の年上の男性を自分より目下だと決めつけるのか。
「長幼の序」という言葉がある。
年下の者は年長者を敬い、年長者は年下の者を慈しむというような意味だ。
47歳の男性が、どんなに社会的にお偉い立場の人かは知らないが、自分の親ほどの年齢の人を、悪しざまに目下呼ばわりするほうが無礼千万。
言葉に対する感受性は人それぞれ。
私が最近の流行り言葉で許せないのが、「やばい」という言葉。
「やばい」は、悪いことが起きるときの言葉である。
数年前に若者の間で「美味しい」と表現するのが流行って、それをワイドショーで面白がって取り上げられた。
ちゃらい芸能人たちが若者ぶって、「やばい」をバラエティーで使いだしたとき、これは定着しないでもらいたいと思っていたのだが、いまや完全に定着してしまった。
言葉は時代とともに変遷を重ねていくもの。
その結果が、万葉時代の言葉が、今や英語や中国語と同格の「古語」という語学の一ジャンルになっているわけだ。
今日のワイドショーに、「声に出して読みたい日本語」の著者で、テレビでもおなじみの教育学者斉藤孝さんが出演しておられて、「ご苦労さま」は上から下にかける言葉で、目上の人や同じ立場の人には「お疲れさま」という言葉が一般的だという見解を延べられていた。
しかし、この「お疲れさま」についても、今年の8月、ちょっとした論争になっていた。
タレントのタモリさんの、「子役が誰彼かまわず『お疲れ様です』といって回るのはおかしい」という発言が大きな波紋を呼んだ。
タモリさんは、7月26日放送の『ヨルタモリ』(フジテレビ系)で、「『お疲れ様』というのは、元来、目上の者が目下の者にいう言葉。これをわかっていないんですね」と力説した。
さらには、民放連が子役に「お疲れ様」といわせないよう申し入れをすべきだとまで提言した。
これに、中高年から賛同の声が上がった。
ニュースポストセブンの記事によると、「先に帰る若手社員に『お疲れ様です』といわれるとカチンとくる。そこは『お先に失礼します』だろう!」(50代男性)
「後輩に上から目線でいわれているようで、嫌だ」(40代男性)
タモリさんに賛同する人たちにとっては、「お疲れ様」は不快に感じる言葉のようだ。
一方、若い世代においては、「お疲れさま」は挨拶のスタンダードになっていて、「おはようございます」「さようなら」と同等な使われ方をしているという意見もある。
私は、若者同様、「お疲れさま」を違和感なく常用していて、おじさんの風上にもおけないのである。
実際そんな意見も少なくないようで、同じ記事の中に、「ビジネスマナー講習で『ご苦労様』は失礼だから、『お疲れ様』を使えと教わったのに」という20代男性の言葉もあった。
人生いろいろ、言葉もいろいろ。
世代によって言葉の使い方が変わっていくことに、めくじら立てても仕方がない。
言葉の是非はとにかくとして、「机の角を脳天に突き刺すぞ」という言葉のほうが衝撃的だなあ。
「机の角」をどうやって脳天に突き刺すのだろう。
私の陳腐な脳味噌は、「机の角」には「頭を叩きつけるぞ」かなー。
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