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2015年11月24日 (火)

悪徳不動産屋日記 田舎暮らし

  朝一番で、来客があった。
 
  事務所の前を2度ほど行ったり来たり、意を決したように入って来られた。
 
  「いらっしゃいませ」
 
  「ちょっと、辺鄙(へんぴ)なところの家賃の相場をおしえてもらいたいのだけど・・・」 
 
  (辺鄙なところの家賃相場とはどういうことだろう??)
 
 質問の意味が理解できないでいる私に、さらに、「郊外の辺鄙なところだと家賃は安いでしょう?」と聞いてくる。

  どうやら、地元の人ではないようだ。

  町の中心部から遠くなると家賃が安くなると思ってのことのようだ。

  電車やバスを交通手段としている都会では、交通の利便性が家賃に大きく影響を与える。
 
  しかし、公共交通機関が整備されていない、当地(宮崎県の北端の街・延岡市)のような地方都市では車だけが移動手段である。

  当地においては、普通に暮らす人の居住地は市内のどこに行くにも車で15分圏内にある。

 だから、駅までの距離やスーパーまでの距離は、家賃にあまり大きな違いがない。
 
  傾向としては、築歴の浅い新しい物件は高いし、古い物件は安くなる。
 
  そんな説明を簡単にしていたら、余り人が住まないような辺鄙なところなら安いんじゃないかと聞いてくる。
 
  延岡市も広いから、人家もないような辺鄙なとこで空家になってる物件を貸したいという人がいれば、極端に安くしなければならないだろうけど、安くしても借手がいないから物件として流通はしない。
 
  つい先日も、私の知人からの紹介で、周囲に民家のない辺鄙なところに家を探してくれという依頼があって、いろいろと探してみたが、希望条件に合う物件がないということでお断りした。
 
  山間部や海岸沿いの田舎であっても、人は集落の中で暮らしている。
 
  人が住むには、道路、電気・水道や排水といったインフラが必要で、ぽつりと一人ではは暮らせないもののようだ。
 
 今までにも、年をとったら田舎にひっこんで、のんびり畑でもやりながら住める家はないかという相談を何度も受けたことがある。

 

 こんな方が希望する物件はというのは、自然に囲まれて、近所づきあいをしなくていいように近くに人が住んでいなくて、手入れせずに住めるようなきれいな家がついていて、格安で、市街地に出ようと思ったら20分くらいでいけるような広い道路のついてアクセスのいい場所なのだ。

 

 自然に囲まれた辺鄙なところは、便利が悪くて暮らしにくいから人が出て行くから辺鄙なままなのだ。

 

 不便を嫌って出て行く町に、新しい家なんてあるわけない。

 

 住む人がいない道路を、わざわざ整備する予算なんてあるわけない。

 

 風光明媚な自然環境の中で利便性の良い生活をしたいのだったら、リゾートマンションの会員にでもなればいいのだ。

 

 ブームとしての「田舎暮らし」は、それで金儲けをしようとする人のための手段であることが多い。

 

 本当の意味での「田舎暮らし」を教えてくれる本や新聞情報には、田舎暮らしは決して快適なことばかりではない。本気で田舎暮らしをするなら、まず地元の人とコミニュケーションをとって、地元に溶け込むことがひつようだと説いている。

 

 悪徳不動産屋の私は、かつては、そんなことを教説してお客さんを不快にさせてしまっていた。

 

 その私も年をとって少しはまるくなった。

 

 今日のお客さんにも、余り強引に自分の意見を押しつけることはせず、お客さんに聞かれるままに不動産の相場や状況を教えて差しあげるだけにした。

 

 そんな私の話を聞いていて、「延岡は田舎だから(不動産が)安いと思っていたのに、そんなんやったら大阪と変わらんわ」と言っていた。

 

 田舎は人口が減ってきて、空家がたくさんあって、タダみたいに安くあふれていると思っていたらしい。

 

 本当に田舎暮らしがしたいのだったら、過疎で高齢化した限界集落といわれるところに行くことだろうなあ。

 

 病院は無いし、バスも電車も通わなくて、助けを呼ぼうにも人がいないところだったら、それこそタダ見たいな値段で家が買えるかもしれないですぞ。

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