胃カメラと公正証書遺言
私の友人と、その同級生の医者の会話。
「最近胃の調子が悪いので意の薬をだしてくれないか」
「ずっと胃の検査をしていないようだから、胃カメラで検査をしたほうがいいよ」
「胃カメラはいやだよ。苦しいから。」
「今はね、鼻からいれる胃カメラがあるんだよ。従来の胃カメラより、ずっと細くなって、ぜんぜんきつくないよ。」
「へー。そうなんだ。自分で試してみて、楽だった?」
「いや。まだ僕はやったことは無いんだけど……」
「なあんだ。ぜんぜんきつくないよなんて言ってたけど、自分がやったことはないのか。それじゃ、どのくらい楽なのかわからんじゃないけ」
この医者を悪く思うわけではないが、往々にしてあり得る話である。
この話を聞いて、私も、思い当たることがあった。
私は日頃から、遺言の必要性を説いている。
ことあるごとに、遺言は元気なうちに書いておくことを勧めている。
そして、遺言書を書くなら公正証書遺言にすることを提言している。
かくいう私はといえば、遺言書は毎年書き替えているのだが、公正証書遺言にしてはいない。
公正証書が一番威力を発揮するのが遺言だ。
相続というと、不動産や預貯金の相続でもめることが想像できる。
実際相続登記では、相続人の戸籍を集めるのが大変な作業で、遺産分割をどのようにするかスムーズにいかないこともある。
しかし、公正証書の遺言書があれば、直ちに相続登記が完了する。
このことにもまして公正証書遺言が力を発揮するのは、故人の預貯金の取り扱いだ。
金融機関は、預貯金の名義人が亡くなった事実を知ると、故人名義の預貯金を凍結する。
故人が入院していた病院や施設の入院費等を支払おうと思っても、故人名義の預貯金には手をつけられなくなるのだ。
遺産をどうわけるかということより、まず問題になるのはこのことの方だ。
預貯金の処分方法と遺言執行任を指定した公正証書遺言があれば、預貯金を降ろすことができる。
だから、公正証書遺言を勧めるのだけど、私も公正証書遺言はつくっていなかった。
友人の話の胃カメラの医者を笑えた立場ではない。
お客さんに、「あなたは遺言書を作ってますか」と聞かれたら、一言もない。
早速、今書いてある遺言書を見直して公正証書遺言を作成しなくてはならないと思っている。
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