テロリストへ――「君たちに憎しみという贈り物はあげない」
パリ同時多発テロで妻を亡くした仏人ジャーナリストのアントワーヌ・レリスさんが、フェイスブックにつづった、テロリストへの文章に共感が広がっているという。
リレスさんの妻リレンさんは、コンサートホール「ルバタクラン」のテロで命を奪われた。
以下の文章は、リレスさんが妻の遺体と対面した直後に書いたものだそうだ。
「君たちに私の憎しみはあげない」
金曜の夜、君たちは素晴らしい人の命を奪った。
私の最愛の人であり、息子の母親だった。
でも君たちを憎むつもりはない。
君たちが誰かも知らないし、知りたくもない。
君たちは死んだ魂だ。君たちは、神の名において無差別な殺戮(さつりく)をした。
もし神が自らの姿に似せて我々人間をつくったのだとしたら、妻の体に撃ち込まれた銃弾の一つ一つは神の心の傷となっているだろう。
だから、決して君たちに憎しみという贈り物はあげない。
君たちの望み通りに怒りで応じることは、君たちと同じ無知に屈することになる。
君たちは、私が恐れ、隣人を疑いの目で見つめ、安全のために自由を犠牲にすることを望んだ。
だが君たちの負けだ。(私という)プレーヤーはまだここにいる。
今朝、ついに妻と再会した。何日も待ち続けた末に。彼女は金曜の夜に出かけた時のまま、そして私が恋に落ちた12年以上前と同じように美しかった。
もちろん悲しみに打ちのめされている。君たちの小さな勝利を認めよう。
でもそれはごくわずかな時間だけだ。妻はいつも私たちとともにあり、再び巡り合うだろう。
君たちが決してたどり着けない自由な魂たちの天国で。
私と息子は2人になった。
でも世界中の軍隊よりも強い。
そして君たちのために割く時間はこれ以上ない。
昼寝から目覚めたメルビルのところに行かなければいけない。
彼は生後17カ月で、いつものようにおやつを食べ、私たちはいつものように遊ぶ。
そして幼い彼の人生が幸せで自由であり続けることが君たちを辱めるだろう。
彼の憎しみを勝ち取ることもないのだから。
わたしは、こんなに強い言葉を聞いたことがない。
多くの市民は残忍なテロを憎み、怒りの声をあげる。
少し冷静になって、憎しみの連鎖に陥ってはいけないと声を発する人もいる。
だが、憎しみや怒りの声は、声高にほかの声をかき消してしまう。
世界の指導者たちは、大きな声にしか耳を貸さない。
戦争。空爆。
テロ。空爆に対する報復。
私は、憎しみの連鎖に陥ってはいけないと思う。
血の報復合戦になってはいけないと思う。
かしし、妻や子供や友人を殺された人々が、命を奪った相手に命で償わせようとする気持ちもわかる。
報復をいさめるのは傍観者としての私であって、自分の妻や子の命が奪われたら、私もその相手を殺したいと思うだろうし、その家族を殺して同じ悲しみを与えたいと思うだろう。
最愛の人を奪われたレリスさんの言葉は衝撃的だ。
「君たちを憎むつもりない 君たちが誰かもしれないし、知りたくもない」
「だから、決して君たちに憎しみという贈り物はあげない」
「久美たちの望み通りに怒りで応じることは、君たちと同じ無知に屈することになる」
「君たちは、私が恐れ、隣人を疑いの目で見つめ、安全のために自由を犠牲にすることを望んだ。だが、君たちの負けだ。(私と言う)プレーヤーはまだここにいる。」
残虐なテロに対して、こんなに強い言葉を始めて聞いた。
世の指導者たちが同じ気持ちになれば、憎しみの連鎖を断ち切れるかもしれないと感じさせられた。
人類から争いごとを除くのは、無理なことだとは思うが。
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