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2015年12月 4日 (金)

悪徳不動産屋日記 「家主さん!しっかりしなさい!あなたの商売ですぞ!」その3

 12月1日、12月2日、2日連続して「家主さん!しっかりしなさい!あなたの商売ですぞ!」という記事を書いた。

 この家主さんには、その3が必要になった。

 というのも、記事で話題にしていた貸し店舗には入居申込みが入っていた。

 県外で商売をしていた方が、現在の店をたたんで当地(宮崎県の北端の街・延岡市)に出店をするということでの申込みだった。

 賃貸借契約は、借りたいという人がいても、誰にでも貸すわけではない。

 家賃滞納を起こしたり、生活問題を起こしそうな人には貸せない。

 最終的には家主の判断になるのだが、不動産業者は、家主との窓口に立って、ある程度の選別をしている。

 そもそも借りるときには問題は起こらないのだ。

 問題が起こるのは貸してしまった後だ。

 不動産業者は、多くの問題を経験している。

 その経験をもとに、先々起こり得る問題を極力、未然に防ぐために契約を交わすのだ。

 今回の借主は県外で商売をしていた方。業種は飲食店。

 今までの店は福岡市の近郊の町。

 当地はつい最近まで高速道路網もなく、陸の孤島と言われていた。

 大手の流通店は入ってているが、小さな商店が外部から出店するには立地が悪い。

 どうにも不安が払拭できないので、家賃保証会社の保証をつけることを条件にした。

 保証会社の保証の承認があれば話をすすめるが、保証会社が保証を断ってきたら貸さないということにした。

 果たして、保証はついた。

 それで一昨日、入居を希望するお客さんに当地に来てもらって、現地で家主を交えて最終的な契約内容を確認してもらった。

 私は家主と借主の間に立って、店舗内の備品を、いるものといらないものを明確にしていった。

 そして、いらないものは当然、家主が処分することを約束してもらった。

 もうひとつの条件は、家主の負担で業務用のエアコンは新規に設置することだった。

 それ以外の改装工事は借手が負担することをが契約条件で、そのことは重々借手に伝えていた。

 それにもかかわらず、借手が質問をしているだけなのに、家主が自ら自分の負担を引き受ける話をする。

 見かねて、私が、「それは借手さんの負担で話をしていますから、家主さんがなんでも安請け合いすることはないですよ。」と何度か口をはさんだのだが、気持ちよく借りてもらいたいから、そのくらいのことはすると言って、店のレイアウト等にも自分の意見を述べられていた。

 おまけに契約も終っていないのに、「改装の準備もあるだろうから鍵を渡しておいてもいい」などと言う。

 さすがにこれは許せない。

 まだ契約が終っていない。

 保証会社との契約もまだだ。

 契約書と保証契約には保証人の署名捺印が必要だが、保証人予定者は福岡在住の方。

 賃貸借契約書と保証契約書をもって帰ってもらって保証人の印鑑をもらわないと鍵は渡せない。

 きちんと手続きを終わらせる前に鍵を渡してしまうと、契約の手続きをなおざりにするお客さんがいる。

 手続きを一切しないということは稀だが、1カ月近く遅れてしまうことは少なくない。

 だから、「鍵を先に渡してはダメだと」家主に伝えたのだが、その後も「鍵が無いと改装の打ち合わせをするのに不便だろうから、先に渡してもおいてもいい」となんどか口にした。

 その都度私が静止したのだが、2度も、3度もそんなことを言う。

 3度目に及んでは、悪徳不動産屋の私は、口調を荒くして「鍵は契約が終るまで渡せません」と家主をさえぎった。

 現地で立会いをしながら、契約内容の整理ができたので、場所を変えて、契約の前に行う重要事項説明を行った。

 そして、契約内緒の読み合わせをして、契約金額を提示した。

 保証人の署名捺印が必要なので、契約書を持って帰ってもって、署名捺印を済ませた契約書と契約金と引き換えに鍵を渡すということにした。

 引き換えでないと鍵は渡せないと伝えたところ、明日にはすべて揃えて来るということだった。

 今回の仕事は、私が家主側の不動産業者(元付け業者という)で、借手側の不動産業者(客付け業者)が別にいる。

 今後の連絡は私にするということで、その場を別れた。

 次の日の朝の今朝、客付け業者さんから電話があった。

 私にではなく客づけ業者さんのほうに、「今日、行くつもりだったけど、用事ができて行けなくなった。書類は郵送する。」との電話があったそうだ。

 私は、猜疑心の強い悪徳不動産。

 悪い予感がして家主に電話した。

 「家主さん、ひょっとしたら鍵を渡したんじゃないですか?」

 「ああ、渡したよ」

 やっぱりそうだ。

 「私が何度も、鍵は契約書とお金が揃わないと渡せないと何度も言ったでしょう。どうして渡したんですか」

 「借りてもらうことになったのだから、鍵があったほうが便利がいいだろうと思って」

 おまけに、借手が車に積んで来た荷物を置いていくことも了解していた。

 問題が起きるないかもしれないが、契約の手続きがルーズになってしまうのは間違いない。

 契約書と契約金と引き換えでないと鍵を渡さないようにすると、お客さんはすぐに契約書を揃えて来る。

 お客さんの事情を酌んで、その原則を破って先に鍵を渡してしまうと、経験上半分以上のお客さんが契約書等の書類が遅くなる。

 保証人が忙しくて印鑑証明を取りにいく隙が無いというような理由で、契約書が入居後1カ月も揃わないときがある。

 家賃の保証契約も済ませていないので、万が一滞納があっても保証がとれない。

 悪徳不動産屋としては、「なぜ言うことを聞かないんだよ!問題が起きたら、あんたのせいだよ!」と家主を怒鳴りつけたかったが、ぐっとこらえて、「先に鍵を渡すと、後の手続きが遅れるかもしれないですよ」と、前述のことを説明しようととした。

 すると、家主からこんな話がでた。

 「あ、そのことなら、なにか都合ができて、こちらに来るのは3、4日遅れるって電話が入ってましたよ。そのときに契約書をするというような話でしたわ。」と、のんびりしたことを言う。

 昨日、私には「とんぼ返りして今日、契約をすませるので鍵をください」と言っていたけど、私が頑としてそれを拒否した。

 相手も私が悪徳不動産屋と察知したのだろう。

 私だと話しにくいので、客付け業者さんに連絡した。

 そのあと、人のいい家主さんに連絡して、3~4日遅れるという。

 気の弱い悪徳不動産屋の不安は高まる。

 どうなることやら。

 大したことにはならないと想像しているが、家主さんには、「不動産屋の私の言ったことを守らなくて起きたことは、家主さんの責任ですぞ」ということを、やわらかくしっかりと伝えておいた。

 これでも、いざ問題が起きてしまったら、私は悪徳不動産屋と言われるのだろうなあ。

 

 

 

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