悪徳不動産屋日記 水道管凍結のクレーム
タイミングばっちりであった。
今、事務所で夕方のニュースを見ていた。
この寒波で、水道管が凍って水が出なくて不自由しているというニュースだった。
軒並み、町中の水道管が凍って、炊事洗濯はおろか、トイレも使えなくなっているという。
取材されている奥さんが、もう2日間も水が出なくて、ボールにためた水を大事に使って食後の洗い物をしている姿や、断水のため多くの店屋や事務所が休業してると報じていた。
水道管が凍るのは零下4度以下になったときらしい。
キャスターが、日頃水道が凍ることのない地域だから、こんなときの対処方を考えることはなくて、多くの家庭で水道管が凍結してしまっていると報じていた。
市や町では給水車を出して水を配給して、市民の生活を支援しているとも報じていた。
そんなニュースをやっているタイミングに、当社が管理しているアパートの入居者が飛び込んできた。
「風呂のお湯がでなくて風呂に入れん。社長が電話で言っていたとおりに水を出しっぱなしにしていたのだけど、すぐになんとかしてくれ!」という。
このアパートは、水道料は小メーターがついてなくて定額制だから、強めに水をだしていてもいいのだが、お風呂の水を強く出すとガスに着火してガス代がかかるので、ガスが着火しないように水量をしぼっていたのだろう。
悪徳不動産屋の私は、この話を聞きながらテレビの音量を最大に上げた。
「今、寒波で町中の水道管が凍って2日間も水が使えないというニュースをやっているよ。日頃水道管が凍ることがないから、ほとんどの家庭で水道管が凍って困っているようだよ。誰も注意してくれないし、何十年かに1度のことで仕方がないとみんなあきらめているよ。あんたは僕が水を出しっぱなしにするように私が助言したから、炊事の水は使えるのだろう。何も注意しなかったら、炊事の水も使えないんだよ。注意してもらってありがとうと感謝してもらってもいいくらいだよ。」
お客だからといって黙って引き下がれないのが悪徳不動産屋のゆえん。
「延岡市中の不動産屋で、わざわざ注意の電話をしたのはウチくらいのもので、ほとんどの会社はそんな電話なんかしていないよ。注意をしてもらえなくて水が一切使えなかった方がよかったのかい。凍ったのは天気のせいで、文句はお天道さんにでも言ってくださいよ」と、いわずもがなの悪態をついてしまった。
テレビでは給水車が1人に2袋の水を配給していた。
テレビのニュースを目にして、息巻いていたお客の怒りは一瞬で消え去ったようだった。
「連絡してくれたのは感謝しています」と言葉が変わった。
そして、「風呂はどうしたらいいんですか」と、恐縮した感じで聞いてきた。
こうなると、悪徳不動産屋といえども、なんとかしてあげようという気にもなるってもの。
その場でかかりつけのガス工事会社に電話して、ガスボイラーを見るように手配した。
それにしても、なんともタイミングのいいクレームだった。
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