悪徳不動産屋日記 時間の約束
前にも書いたことなのだけど、私は、善良なるお客様の言葉が理解できないことがある。
先程の電話での相談がそれだった。
「もしもし、佐藤(仮名)と申します。その節はお世話になりました。」
聞き覚えのある声ではない。
どちらの佐藤さんなのか、「その節」がいつのことなのか、想像をめぐらしている私の頭の混乱とは無関係に善良なるお客様は話を続ける。
「昨年相談していた件で、今月11日に延岡(当地・宮崎県の北端の街・延岡市)に行くことになっているので、もう一度ご相談に乗ってもらえませんか」と言う。
感のいい私だから、ここまでの話で、なんとかどの佐藤さんが、どのような相談に乗ってもらいたいのかはわかった。
遠く離れた県外からお見えになるのであるが、あいにく11日は宮崎(市)に行く予定が入っている。
その旨を伝えると、「10日に延岡に入るので、10日には時間はとれないか」とのこと。
「10日ならいいですよ。時間は何時くらいになりますか。」と聞いてみた。
飛行機で来るのだろうが、宮崎空港から当地まで電車で1時間ちょっとかかる。
接続の電車は1時間に1本か2本しかない。
10日は当社は休みなのだが、相手の時間にあわせて事務所に出るつもりだ。
すると、私の質問には答えず、私の時間の都合を聞いてくる。
私の都合としては早めに終わらせたいのだけど、当地への到着の時間に合わせなければしょうがない。
「こちらに到着する時間に合わせますので、何時がいいですか」と再度聞いてみた。
すると、「夜でもいいですか」と言う。
あまりうれしい話ではないが、飛行機や電車の都合で遅くなっても仕方がない。
「何時でも結構ですよ。時間を言っていただければ、それにあわせます」と答える。
すると、またしても、「赤池さんの都合は何時がいいのですか」と聞いてくる。
私はこちらで迎える立場。
私が相手に合わせるしかない。
そう言っているのに、またしても私の都合を聞いてくる。
それで、「10日であれば、何時でも時間は合わせますので、希望の時間を言ってください」と再度聞くことになった。
すると、またしても「赤池さんは何時がいいんですか」と言う。
よくある話。
こんなやり取りが私には理解できないのだ。
私は不動産屋。経営者といえども、仕事は一営業マンと同じ。
突発的にお客さんの都合で出かけなくてはならないことがある。
ただし、そんなときでも、先に予定が入っていれば時間をずらすことはできる。
私が「何時でもいい」というときは、絶対にその時間を守るということなのだ。
だから、「何時がいいか」と聞いているのに、自分の希望の時間を言わずに、私の都合を聞いてくる人が実に多いのだ。
私が顧客の立場でアポイントを求められるときにも、こんなやりとりになることがある。
損な場合に私は、「じゃあ、明日の朝6時に来てくれ」とか、「夜10時半にしてくれ」と言ってみることにしている。
そして、6時じゃちょっと早すぎるとか、10時半はちょっと遅いという営業マンに対しては、「だから、あなたの都合にあわせるといったじゃないか。私がお客さんに何時でもいいと言ってしまったら、たとえ夜中の1時でも2時でも相手の時間に合わせるぞ」といじめることにしている。
なにせ私は悪徳不動産屋なのだから。
でも、今日の人は営業マンではないので、そんなことはできない。
それで、怒りをおさえて、もう一度「時間は何時でも合わせますので、希望の時間を教えてください」と言った。
それなのに、またしても、私の都合のいい時間を言ってくださいと言う。
遠慮しているのか、自分の都合を押しつけたくないというのか、それとも頭が悪いのか、自分の都合を言わない人がいる。
ここまできたら、わかりやすくしなくてはいけない。
「私が朝の10時にしてください言ってもできないんでしょう。」
「10時は無理です」
「午後1時ならいいんですか」
「1時も無理です」
「2時は?」
「それも無理です」
「でしょう?だから、何時がいいんですか?」
こんなむなしいやり取りをして、やっとのことで「夕方6時から7時に時間をとってもらえますか」という答えを引き出した。
ちなみに相談者は、5、6年前に土地を売らせていただいたお客様。
そのご縁での法律相談だが、いっさい私の利益になる話ではない。
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